ネイマールのバルサ復帰は茨の道! メッシが熱望も、クラブ幹部の優先順位は…

2020年03月13日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

現時点ではクラブ間交渉まで発展していない。

復帰を望むネイマールだが、バルサ側は…。(C)Getty Images

 ネイマールは2019年夏、バルセロナ復帰の話を進めて移籍期限直前に一度は契約書にサインしたにもかかわらず、トレード要員の一人だったウスマンヌ・デンベレのパリSG移籍拒否(残るイバン・ラキティッチ、ジャン=クレア・トディボは同意していた)によってディールが破談になっていた。
 
「バルサに戻りたい」というネイマールの意思は今も変わっておらず、彼とその周辺(移籍仲介人の大物ピニ・ザハビ、父親ネイマール・シニアなど)は昨夏と同じメカニズムを改めて動かして、復帰を実現させようとしている。
 
 リオネル・メッシが先日、バルサに対してネイマール獲得を促すようなコメントを出していた通り、ロッカールーム内で発言力を持つリーダーたちも、その復帰を望んでいる。
 
 問題は、バルサ首脳陣が昨夏ほど乗り気ではない、というよりも来シーズン以降の強化戦略に関して少なくない不確定要素を抱え、現時点でパリSGとの交渉には乗り出していないことだ。
 
 強化部門を担うエリック・アビダルSDとその右腕ラモン・プラネスは現在、ラウタロ・マルティネスの獲得に向けてインテルとの交渉に注力している状況だ。
 
 もしこの移籍が実現すれば、バルサがさらにネイマールの獲得に動くかどうかは定かではない。資金的にそれだけの余裕があるのか疑問が残るうえ、戦力的にもメッシ、ルイス・スアレス、アントワーヌ・グリエーズマン、アンス・ファティを擁する前線の陣容を考えれば、ラウタロとネイマールをダブル獲りする必然性は決して高いとは言えないからだ。
 
 とはいえ、現在のバルサにおいてメッシの発言力・影響力が無視できないレベルにあることは周知の通り。そして補強戦略も、今シーズンのラ・リーガとチャンピオンズ・リーグ(CL)がどんな結果に終わるかによって、少なからず変わってくるだろう。
 
 バルサは21年6月に会長選挙を控えているため、クラブの内部ではそれを見据えた駆け引きもあり、今の体制が来シーズンも続くかどうか自体が不透明だ。
 
 現時点で唯一確かなのは、バルサとインテルの間でラウタロの移籍を巡る交渉が着実に進んでいること。その関係で、ネイマール復帰の可能性が昨夏よりも低くなっているのは確かだ。とはいえ、最終的にどういう展開になるか、今のところはまったく不透明と言っていいだろう。
 
 このネイマールに関しては、ユベントスも興味を示している。ファビオ・パラティチCFOは、20年1月にもパウロ・ディバラ+金銭で獲得の可能性を探っていたほど。仮にクリスチアーノ・ロナウドがトリノを去れば(新天地候補は中国、アメリカ、古巣マンチェスター・U、そしてパリSGなど)、ユーベはその後釜として本気でネイマール獲得に乗り出すだろう。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年3月19日号より転載
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
 
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