「驚異の75歳!」プロデビュー戦で世界最高齢ゴールを挙げた“超遅咲き”に世界が注目!

2020年03月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

試合後に示した、キングカズへの「リスペクト」

トレーニングに励むバーデル。動きの切れはとても75歳とは思えない(写真はクラブ公式サイトより)。

 超遅咲きの"ルーキー"がプロデビュー戦でいきなりゴールを決めた。英公共放送『BBC』をはじめ、数多の欧州大手メディアが驚きをもって報じている。

 前人未到の記録が生まれたのは、エジプトの3部リーグだ。対ゲニウス戦でスタメンを飾ったのが、オクトーバー6のFWエゼルディン・バーデルで、なんと御年75歳。今年2月に生まれて初めてプロ契約を結んだばかりのストライカーが、終了間際にチームが得たPKを決め、プロリーグにおける世界最高齢ゴールをマークしたのだ。これが値千金の同点弾となり、試合は1-1で終了した。

 出場記録もゴールも間違いなく世界最高齢なのだが、ワールドレコードの権威である英ビールメーカーの『ギネス』社はいまだ認定していない。バーデルとオクトーバー6に対して「数分間出場するだけではプロフットボーラーと見なされない。ギネス最高齢として認定されるためには、2試合続けて90分間フルタイムで出場しなければならない」といった条件を出したのだ。

 なかなか厳しいオファーだが、バーデルは「準備万端だ。問題ないよ」と意に介さず。さらにチームのアーメド・アブデル・ガニー監督は「正直言ってエゼルディンが我々にとって100%欠かせない戦力かと訊かれればそうではない。ただ彼のフットボールに傾ける情熱と野心が素晴らしいんだ」と語り、「もしギネス更新となれば、エジプト・フットボール界にとっても明るいニュースになる」と全面サポートを約束した。

 だが、ゲニウス戦は満身創痍だったとバーデルは振り返る。

「実は、試合終了の5分前に足を傷めてしまったんだ。でも85分間ではカウントされないし、なんとか根性で乗り切ろうと誓った。そうしたらチームメイトが僕にPKまで譲ってくれてね。狙い通りの(GKの逆を突く)キックができたよ。最高の瞬間だった」

 英『BBC』は「驚異のおじいちゃんが75歳でゴールを決めた! プロレベルでだ!」と称えれば、欧州テレビ局『EUROSPORT』は「75歳のプロ選手が夢の達成に一歩近づいた」と報道。ドイツ大衆紙『BILD』も「ゴールまで決めるとは圧巻。途轍もないビッグチャレンジだ」と伝えている。

 
 現在のギネス認定者も、なにを隠そう現役選手だ。イスラエル人のイサーク・ハイクで、73歳だった2019年にプロリーグでの出場を果たしてゴールも決めているが、その後は深刻な膝の怪我に見舞われてチームを退団。今シーズンはアマチュアクラブに所属しており、さらなる記録の更新は不可能となっている。

 試合後は興奮を隠せないバーデルだったが、そこで飛び出したのがキングカズこと、三浦知良(横浜FC)の名だった。日本のレジェンドへの敬意を口にする。

「もちろん最年長記録を達成できれば嬉しい。ただ、日本には尊敬に値するカズヨシ・ミウラがいる。彼はずっとプロとしてプレーし、53歳でゴールを決めているんだ。本当に素晴らしいプレーヤーだよ」

 はたしてバーデルは新記録を打ち立てられるか。次戦は3月21日に予定されており、そこでフルタイム出場を果たせば、晴れてギネスブックにその名を刻むことになる。ちなみにバーデルには、4人の子どもと6人の孫がいるという。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【動画】75歳FWの"世界最高齢ゴール"にエジプト中が熱狂! バーデルのプロデビュー戦ハイライトはこちら!

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