【番記者通信】“特別な”ペップの2つの顔|バイエルン

2014年03月19日 パトリック・シュトラッサー

記者と話すロッベンの頭をやさしく撫でていった。

圧倒的なカリスマで選手を魅了するグアルディオラが持つ2つの顔とは――。 (C) Getty Images

 ペップ・グアルディオラは特別な存在だ。それも当然だろう。世界最高の監督と見なされているし、バルセロナで成功したプレー哲学を、バイエルンに植え付けようとして、それもうまくいっているのだから。

 グアルディオラ監督とバイエルンの選手たちの付き合い方を見ていると、どうやら2人のペップがいるようだ。まずはメディアや世間一般の人たちが目にするペップ。スマートなスーツ姿でサイドラインに立ち、選手たちに指示を出してゲームを操る。途中交代を告げ、がっかりしながらピッチを下がる選手には、「申し訳ない」とでも言うかのように、手を差し出す。あるいは、「よくやった」と祝福する。

 2-1で勝利した25節のレバークーゼン戦後、アリエン・ロッベンがミックスゾーンで記者たちと話をしていると、グアルディオラが後ろから近づいてきて、通り過ぎざまにロッベンの坊主頭をやさしく撫でていった。ゴールが決まった後に選手同士がよくやるような感じで。こういう瞬間のペップは、選手の父親か、または優しい伯父さんのようだ。まるでペップの前任者、ユップ・ハインケスがそうであったように。

 もうひとりのペップもいる。ファンやメディアには隠されたペップだ。選手との個人懇談やチームミーティングの際のペップは、かなりはっきりした物言いで、彼らが犯したミスを容赦なく指摘する。そういう時のグアルディオラは、厳しい教師のようであり、選手にとっての絶対的な権威である。

 バイエルンの選手たちはグアルディオラに魅了されている。すべての練習内容、すべてのパスを自らやって見せるからであり、これまでに自分たちが知らなかったアイデアを持っているからである。そして、選手としての自分をさらに良くしてくれる、それにもちろん、勝利から勝利へと導いてくれるからだ。

【記者】
Patrick STRASSER|Abendzeitung
パトリック・シュトラッサー/アーベントツァイトゥング
1975年ミュンヘン生まれ。10歳の時からバイエルンのホームゲームに通っていた筋金入りで、1998年にアーベントツァイトゥングの記者になり、2003年からバイエルンの番記者を務める。2010年に上梓した『ヘーネス、ここにあり!』、2012年の『まるで違う人間のように』(シャルケの元マネジャー、ルディ・アッサウアーの自伝)がともにベストセラーに。今年5月にはバイエルンのCBダンチの自伝を出版予定。

【翻訳】
円賀貴子
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