「ミウラはアニメのヒーローのよう」スペイン人記者が見た “52歳の現役”カズ【現地発】

2020年02月21日 エル・パイス紙

柴崎岳も最大級の賛辞を述べる

キックオフカンファレンスで登壇した三浦(右)とイニエスタ(左)。写真:金子拓弥

 Jリーグのキックオフカンファレンスで、アンドレス・イニエスタと三浦知良は揃って壇上に立った。ふたりが所属するヴィッセル神戸と横浜FCは、2月23日のJリーグ開幕節で顔を合わせる。

 キャリアの終盤を日本で過ごしているアンドレス・イニエスタだが、三浦の隣に並ぶと、アレビン(11歳~12歳)の選手のような雰囲気を漂わせていた。イニエスタがボールを蹴り始めた頃、三浦はすでにプロのサッカー選手だった。我々スペイン人の間で末永く愛されているアニメの原作コミックが発売され始めた時、イニエスタはまだこの世に生を受けていなかった。

 そのコミック、『キャプテン翼』は1981年に連載が始まった。漫画家、高橋陽一氏が描くプロサッカー選手を目指す少年たちの成長物語だ。2年後にはアニメ化され、後年、スペインでは「カンペオネス、オリベルとベンジ」とタイトル名を変えて放送された(オリベルはオリベル・アトム、大空翼のこと、ベンジはベンジ・プライス、若林源三のこと)。
 
 その頃、ひとりの日本人の青年がサッカーを学びにブラジルに渡っていた。それが三浦で、いつしかオリベル・アトムのモデルとして認識されるようになった。

 魔術師オリベルは、実際のサッカーの試合ではあり得ないアクロバティックなプレーを連発していた。時に現実はフィクションを超える。今月26日に53歳の誕生日を迎える三浦はJ1に昇格した横浜FCでいまも現役を続けているのだ。

「僕もその年齢まで続けられたらいいんだけどね。情熱を失わず、サッカーへの愛を持ち続けている。尊敬を感じる」

 対面を果たした後、17歳年上の三浦について、イニエスタはこう語った。現在スペイン2部のデポルティボでプレーする柴崎岳も三浦の信奉者のひとりで、最大級の賛辞を述べる。

「(僕があの年齢まで現役を続けるなんて)あり得ない。誰からも愛され、尊敬されている。すべての若手の模範となる存在だ」

 日本は伝統を重んじる国として知られるが、三浦もまた背番号11にちなんだある習慣を持っている。それは毎年1月11日午前11時11分に契約更新を発表することだ。
 

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