浦和の左サイドが面白い。新システムで躍動する汰木と山中の“超攻撃的コンビ”に注目

2020年02月17日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

ふたりが特に大きなインパクトを放ったのが35分

新システムで躍動する汰木(左)と山中(右)。今季の飛躍が期待される。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 昨年までの3-4-2-1ではなく、今季から4-4-2システムを導入した浦和で、存在感を増しているのが、左サイドハーフの汰木康也と左SBの山中亮輔だ。

 独特のリズムを刻む柔軟なドリブルが武器の汰木と、正確かつパワフルな左足のキックが持ち味の山中にとって、新システムは最適な環境だ。

 昨季、汰木は途中出場がほとんどで、シャドー、FW、ウイングバックと使いどころがはっきりしなかった。一方の山中も、SB以上に攻守のバランス感覚が問われるウイングバックに苦戦しベンチ外の時期も経験した。ところが、いずれも開幕前のキャンプから新たなスタイルにフィットし、レギュラーの座を掴む勢いを見せている。

 今季初の公式戦となったルヴァンカップ仙台戦では、ふたり揃って先発出場。4分にいきなり汰木の仕掛けから決定機を作ると、その後も何度もサイドを切り崩してチャンスを演出。5-2の快勝に貢献した。
 
 ふたりが特に大きなインパクトを放ったのが、チームの3点目が生まれた35分のシーンだった。関根貴大からのパスをサイドで受けた汰木がドリブルで相手ふたりをひきつけると、絶妙なタイミングでピッチ中央から相手ペナルティエリアに駆け上がる山中へとスルーパス。山中はこれをダイレクトで中央に折り返し、レオナルドのゴールをお膳立てした。

 鮮やかな崩しだった。相手の攻撃を力強く食い止め攻撃へとつなげた鈴木大輔のスライディングタックル、起点のパスを送った関根の素早い判断、汰木の外側をまわって相手をかく乱した杉本健勇の動き、レオナルドの冷静なフィニッシュも光った完璧なカウンターアタックだったが、その中心にいたのが、相手の敵陣をいとも簡単に突破した汰木と山中だったのである。

 汰木が自画自賛するのも納得だ。「完璧でしたね。めちゃめちゃ綺麗でした。ああいう形はキャンプでもたくさん出ました。逆に自分が追い越していくシーンもありました。ヤマ君(山中)も、自分も攻撃の面で特長があるので、お互いそういう部分を引き出し合えていると思う。攻撃の特長のある選手が3人、4人って絡むと、すごくいろんなバリエーションが出ると思う。あれがゴールまでつながったっていうのが最高でしたね」と振り返る。

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