【三浦泰年の情熱地泰】年に一度の恐ろしい依頼…「Jリーグ順位予想」について考える

2020年02月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

現場にいる人たちのことを知っているなかで予想を立てる難しさ

コリンチャンスU-23の沖縄キャンプに帯同し、Jクラブとのトレーニングマッチも行なった。気になる順位予想は2月13日の『サッカーダイジェスト』にて!

 サッカーダイジェストのWebコラムを始めて6年目になる。

 タイのチェンマイFCの監督に就任する前に頼まれ、まだこのwebサイトがどうなるか分からない時期に、お互いが良い方向と良い関係になっていくであろうという話からコラムがスタートした。

 その分、誌面に載る機会は減ってしまったが、サッカーダイジェストというサッカー雑誌を愛する人たちのために、長く貢献している日本スポーツ企画出版社と一緒に価値のある記事を一緒に世間に発信できることを本当に感謝している。

 そして、少なくなった雑誌取材のほうでは1年に一度やって来る「恐ろしい依頼」がある。
 それは「Jリーグ順位予想」だ。今年も、そんな時期がやってきた。

「ブラジルで生活している僕で大丈夫ですか?」というのが率直な良い断り方。それでも「お願いします」と言われれば断る訳にはいかない。

 僕は評論家でもなく、プロのコメンテーターでもない。どちらかというと、現場よりの立場でもある。この仕事を楽しみにしているプロのコメンテーターはいるのであろうか? 悩む日が続く……。

 今年は偶然にも、沖縄でコリンチャンスの日本遠征に帯同して何チームかと対戦してチームの現状を少し知ることができたが、それでも全チームの情報がしっかり把握できているわけではない。そうしたなかで予想を立てるのは正直難しい。

 僕の監督としてのファーストキャリアとなったギラヴァンツ北九州の時に、そっとみたTVの順位予想は"最下位"だった。当時、前年のリーグ戦ではわずか1勝、15ポイントしか挙げられなかったチームの予想であれば当然であるが、8位と躍進した翌年も最下位予想が多く、あくまでも予想に過ぎないのだからなのだが、誰も嬉しいことではない……。

 現場にいるほとんどの人たちのことは知っている。そうした世界で予想をするのだから、その人たちの気持ちを考えたら受けるものではない。

 そんななか、やるからには予想への裏付けとなる理由をしっかりと持って順位をつけるしかない。「その理由だけで、なんでその順位?」と思われるかもしれないが、自分なりの分析と勘を頼りに決める。

 順位予想をするうえで参考になるのが選手補強だろう。各チームの傾向を知るのにも役立つが、これは当然である。どれだけの即戦力が入ったかによって、チームに与える影響も違ってくるはずだ。そして前年リーグの順位も大きく左右する。昇格したばかりのチームや、なんとか降格を免れたチームを上に持っていくのは難しい。

 だからと言って、それだけで決められるものではない。

 僕は「積み重ね」を重視しながら、クラブの「信念」や「拘り」みたいな部分を僕のイメージや勘でチェックしている。

 そのイメージ、勘とは、クラブの予算規模や地域性、偶然入った情報などの中で、クラブの雰囲気、勢いが今年感じられるかどうかだ。

 決して名前のある選手が入ったとか、外国人監督が入ったという、人の動きだけでは決められない。

 予算から大物選手の獲得はないが、地道に監督が料理している様に見えるチームを予想外の位置に置いたり、その逆にまさかという位置に置いたりもする。

 そして少し高い位置に置く理由はそうあってほしいという願望があり、低い位置に置くにもそうならないで欲しいという願いもある。

 それは予想ではない、と言われても僕の予想の付け方とはそうであるということだ。

上位に書いたチームからは「ありがとう」と言われ、下に書いたチームの人から無視される。そんなものではない。

 ただ怖い仕事である。人のやる事を予想するのだから……。

 監督をやっている時によくこんな質問をされた。
「今年の順位は?」

 それは、今年の目標ではなく予想だ……。

 まったく自分のチームの予想をするのも難しいのに、J1・J2の40チームの予想となれば、難し過ぎて困るの一言である。

次ページゼロックス杯と大宮対ナシオナルを観戦。この2試合から予想を立てるのは不可能に近いが…

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