「冷遇されていた柴崎岳を舵取り役に」デポルティボの驚異的な快進撃はこうして始まった【現地発】

2020年02月03日 サッカーダイジェストWeb編集部

1か月ほど前は最下位に低迷

前指揮官から冷遇されていた柴崎がデポルティボの巻き返しの原動力に。 (C)Mutsu FOTOGRAFIA

 今からほんの1か月ほど前、セグンダ(2部)の最下位に低迷していたデポルティボがここにきて猛烈な巻き返しを見せている。その20節終了地点で積み上げた勝点が12。それがここ6試合で破竹の6連勝を飾り、一気に18ポイントを荒稼ぎ。降格圏との勝点差が9だったのが、昇格プレーオフ圏と9ポイント差(25節終了時点)と状況が完全に逆転した。

 巻き返しの号砲なったのが、クリスマスブレーク前最後の試合となったテネリフェ戦(21節)だった。当時クラブ周辺には強烈な逆風が吹き荒れていた。チーム低迷の責任を取ってフランシスコ・マルティネス・ザス会長を筆頭とした経営陣が総辞職。ルイス・セサル・サンペドロ監督も結果如何にかかわらず、ラストゲームになることを知ったうえでの采配だった。

 このクラブを覆う暗雲が天候にも波及したのか、試合会場のデポルのホームスタジアム、リアソールがあるラ・コルーニャは暴風雨に見舞われ、順延も懸念された。結局雨に濡れたピッチで試合は開催されたが、観客は今世紀ワーストの8000人ちょっとしか集まらなかった。しかもこの二重の嵐が試合にも波乱を巻き起こした。
 
 デポルが1点リードで迎えた90分、スソ・サンタナがPKを決めてテネリフェが同点。しかしラストプレーで、ペル・ノラスコアインが劇的なヘディング弾を叩き込みデポルが勝点3を獲得したのだった。

「これで流れが変わるはずだ。選手たちは本当に苦しんでいる。何も彼らが好んでそうしているわけではない。光が見えてきた」

 試合後こう言い残してサンペドロは去っていった。

 そのテネリフェ戦の数日前には、総辞職したフランシスコ・マルティネス・ザス政権が発足する以前の昨年4月まで会長職にあったティノ・フェルナンデスの下で、スポーツ部門の責任者を務めていたフェルナンド・ビダルがクラブの株主総会で会長選に向けて出馬の意向を示していた。ちなみにティノ・フェルナンデスの前会長が「スーペル・デポル」を築き上げたアウグスト・セサル・レンドイロだ。

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