静岡学園を24年ぶりの決勝へ導いた、松村優太のPK獲得に集約された「フットボールインテリジェンス」

2020年01月13日 安藤隆人

「正直ホッとしました」

試合終了間際に自ら獲得したPKを決めた松村優太。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 静岡学園を24年ぶりの決勝に導いたのは、今大会ノーゴールだったエース・松村優太(3年)だった。

 矢板中央との準決勝。0−0で迎えた後半アディショナルタイム。誰もがPK戦だと思った瞬間、右サイドからMF小山尚紀(3年)とのワンツーを経てドリブルで侵入すると、相手DFに倒されPKを獲得。このPKを自らが決めて、その直後にタイムアップのホイッスル。今大会初ゴールをまさに劇的な決勝弾で飾ったのだった。

「ゴールはなかなか取れていない中で、正直ホッとしました」試合後、殊勲の松村はこう胸の内を語った。そして待望のゴールを生み出した自身のスーパープレーに話を向けると、目を輝かせながら自身が持つフットボールインテリジェンスを言語化させていった。

 まず松村が右サイドでボールを受けると、目の前には矢板中央のFW久永武蔵(3年)とMF宮野流斗(3年)の2人がブロックを作りながら対峙していた。

「ボールを持った時に相手が2人いたのですが、その先に小山がいたのが見えたので、どうやって活かすかを考えました」

 松村はゴール前で小山がマークについていたMF新倉礼偉(2年)をスクリーンするように立っていたのを確認し、さらに前の2枚が自身のドリブル突破を警戒していることを悟った。これまで何度も右サイドから相手の股を狙ったり、裏街道を仕掛けて突破を図っていたからこそ、相手の頭の中にその仕掛けが焼き付いていた。

 それを逆手に取るように松村は「DF2枚の間を浮かせて小山に繋げて、そのまま自分が走り込んでワンツーを成功させれば、一気に2枚を剥がせるし、スピードに乗ってペナルティエリア内に入れると思ったんです」と、ゴールへのルートを見出すと、よりその成功率を高めるために、右アウトサイドでボールを少し前に持ち出して、ドリブルでカットインを仕掛ける仕草を見せた。

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