「関係者は満足している」来季の久保建英は“白い巨人”に復帰か、再レンタルか――。マドリー番記者の見立ては?【現地発】

2020年01月01日 セルヒオ・サントス

周囲の予想をはるかに上回る成長

マジョルカで武者修行中の久保。来季の処遇は? (C)Mutsu FOTOGRAFIA

 レアル・マドリーの関係者は、久保建英のマジョルカでのプレーぶりをポジティブに評価している。

 そもそもマジョルカに武者修行に出したのは出場機会と経験を積ませるためだったが、ここまで全体の66.3パーセントに当たる956分に出場。ここ最近のリーグ戦7試合はいずれもスタメン出場と初期の目標は十分にクリアされている。

 しかも18歳の若さで、そのうえ全く異なるフットボールが展開される異国のリーグからの移籍というハンデを抱えていたことを考えると、久保が成し遂げていることにより一層の価値がある。

 思い返してほしい。このファーストシーズンはカスティージャ(Bチーム)に留まらせてスペインのサッカーに適応させる、というのがマドリーの当初の考えだった。それがプレシーズンでハイパフォーマンスを披露したことで方針が変更さわけだが、その後もクラブ内には武者修行先で出場機会を得られずに伸び悩みを招くのではないかと懸念する声も根強かった。

 それを考えれば、周囲の予想をはるかに上回る成長ぶりを見せており、だからこそマドリー関係者は満足しているのだ。
 
 ここまで1得点・2アシストという数字は物足りなさもあるかもしれない。しかしそれ以上に、残留争いを強いられているチームにおいて、自らイニシアチブを取ってプレーしながら攻撃を牽引しようとする姿勢に評価が高まっている。

 今後は来シーズンの処遇に注目が高まってくるが、マドリーの上層部はトップチームの一員として迎え入れるには時期尚早と見ている。繰り返し述べてきたように、彼らは久保のプレーぶり、将来性を高く評価している。ただそれでも若手にとって"白い巨人"で継続的に出場機会を得るのは並大抵のことではない。事実、ここ数年だけでもヘスス・バジェホ(現ウォルバーハンプトン)やボルハ・マジョラル(現レバンテ)らチームに留まったことで成長の停滞を招いた有望株は少なくない。

 久保のモデルケースとなるのはアシュラフ・ハキミとマルティン・ウーデゴーだろう。前者はボルシア・ドルトムントで2年目、後者はオランダでの2年半を経てレアル・ソシエダで1年目のレンタル期間を迎えているが、ともに主力として活躍を見せている。

 首脳陣はすでにマドリーでポジション争いをするための準備が整ったと踏んでおり、来夏に復帰させる方針だ。このようにクラブ内では、若手のレンタル修行が成果を得るには複数年の期間が必要という考えが定着しており、久保についてもその方針をもとに決断を下していくことになる。
 

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