U-17W杯敗退後、仲間に宣言した「プレミア移籍」。山形から欧州を見据える17歳が掴んだ世界との距離感

2019年12月20日 頼野亜唯子

U-17日本代表をキャプテンとして引っ張った半田陸。W杯を振り返り「出て負けたかった」

U-17日本代表のキャプテンとしてチームを牽引した半田。目標のベスト4には届かなかったが、世界を相手に手応えを掴んだ。(C) Getty Images

 開催国ブラジルの優勝で幕を閉じた U-17ワールドカップ(10/26~11/17)。日本はグループリーグでオランダを破るなど快進撃を見せながら、ラウンド16でメキシコに完敗。目標としていたベスト4には手が届かず、大会半ばで帰国の途についた。昨年のアジア予選から、守備の要かつ主将としてチームを引っ張って来たDF半田陸(モンテディオ山形ユース)に話を聞けたのは、本拠地の山形に戻ってから10日余り後のことだった。大会を振り返っての率直な心境を尋ねると、彼は悔しさを噛み殺すようにして言った。


「やっぱり……出て負けたかった」

 最後の試合となったラウンド16のメキシコ戦を、半田はベンチから見ていた。グループリーグ最終戦のセネガル戦で肉離れの負傷。幸い重傷ではなく、テーピングと痛み止めの助けを借りてピッチに立つこともできたが、次を見据えて大事を取るというのが森山佳郎監督の下した決断だった。「勝っていたら、ラスト10分か15分で出す」とも言われたが、ゲームは74分にメキシコが2点目を決めて0−2。逃げ切りのカードを切る展開にはならず、半田は「もう(足が)どうなってもいいから出たい」という思いを抱えたまま、試合終了の笛を聞いた。

 苦い幕切れではあったが、それでも、グループリーグ3試合を通して得たものは大きかった。注目を集めたオランダとの初戦は、大方の予想を裏切って3-0と快勝。半田は立ち上がりこそ「ワールドカップ独特の、今まで味わったことのない緊張感があってビビっていた」そうだが、やがて落ち着くとオランダの出方を冷静に見て対応していった。

「サイドハーフがうまくプレスをかけてくれて、自分たち(CB)は裏のボールを処理するだけだった。分析では、オランダはもっと中央で人数をかけてコンビネーションで崩してくるという話だったけれど、思っていたより単調な攻撃で、そこまで怖くはなかった」

 アメリカとは0-0のドロー、セネガルには2-0で勝利してグループリーグを首位通過。強敵・難敵をすべて無失点で抑え、半田は世界との距離がそう遠くないことを感じていた。

「あらためて、自分の得意とするプレーは世界にも通用すると分かった。当たって倒れることもなかったし、1対1でボールを奪い切って味方につないだり、ゴール前で身体を張って守るというところはできたと思う」
 

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