【セルジオ越後】2チームの監督“兼任”はもう限界に達している。先延ばしせず“決断”すべき!

2019年12月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

日韓戦は「ほとんど何もできなかった」と、まさに選手自身がそう感じていた

五輪代表とA代表の指揮官を兼任する森保監督だが、越後氏は厳しいスケジュールの中で料率は難しいのでは、と語る。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 E-1選手権の韓国戦は0-1で負けたけど、スコア以上のまさに"完敗"だった。前回2年前のE-1では1-4でスコア的にも完敗だったけど、今回もはっきり言って同じ。クロスバーやポストに助けられ、1対1で外してくれたり、結局3、4点取られてもおかしくない内容だったからね。

 韓国はボール際でものすごいフィジカルの強さを発揮していたし、セットプレーでの迫力もあった。サイドチェンジで幅を使った攻撃もするし、攻め方にバリエーションがあった。一方で日本は悪い意味で普段通り、足もとだけの各駅停車のパスばかり。そこに相手の猛烈なプレスが来るから、日本の選手たちはすぐに囲まれて、慌ててパスミスやコントロールミスを繰り返した。

 一方でこの試合で、韓国は引き分けになると優勝することができなかった。当然、点を取りに来るわけで、立ち上がりから押し込んでくるのは予想できたはずだよ。でも日本の戦いぶりを見たら、その勢いが予想以上だったのか、猛烈な勢いにまるで太刀打ちできていない。守るのか、攻めに出るのか中途半端な状態で、誰もリーダーシップを取ろうとしない。
 

 もうチームになっていないのが明らかに見え見えなんだ。試合の後で田中が「ほとんど何もできなかった」と言っていたが、まさに選手自身がそう感じていたんだ。これはもう明らかに準備不足。いかに中途半端なやり方でこの大会に臨んでいたかということだよ。

 つまり、今回のチームは五輪代表の選手をA代表に融合させるというテーマでやって来たようだけど、まったく成果を上げられなかったというわけだ。中国や香港相手には自分たちの持ち味を発揮できても、韓国のような相手にこそ発揮できなくては意味がない。

 この11月、12月の日本代表の試合を振り返っても、どんな相手に勝ったのか、勝てなかったのか。そこをよく吟味しなければ、当然だが正確な評価なんてできないんだ。2019年最後のA代表の試合だったけど、残念ながら日本はまだまだ強くない。欧州組がいない試合とはいえ、相手も同じ条件。そういう印象を持たざるを得ない今年の締めくくりだった。
 

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