金田喜稔が韓国戦を斬る! 最低限の戦術がなければ「自主性」ではなく「ほったらかし」だ。このままでは手遅れに…

2019年12月19日 サッカーダイジェストWeb編集部

韓国は日本対策を採ってきた

2年前と同じく韓国に敗れた日本。攻守に圧倒された感は否めない。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 残念な試合だったね。選手起用については、香港相手とはいえ、前の試合でハットトリックを決めた小川が、なぜ使われなかったのか。同じく香港戦でアピールした相馬と大島も、もっと長い時間チャンスを与えてもよかったと思う。

 その試合では持ち味を活かせなかったとはいえ、仲川が10分程度しか出番が与えられなかったのも疑問が残る。森保監督が期待する選手とは違うのかもしれないけど、旬な選手だけにもう少し見てみたかった。勢いに乗っているプレーヤーには、どんどんチャンスを与えてほしい。

 ただ、この試合に関しては、選手個々がどうこうというより、チームとして大きな差が出た。3-4-2-1の日本に対し、4-3-3の韓国は、立ち上がりから3トップが日本の3バックにプレッシャーをかけ、ビルドアップをさせない姿勢で臨んできた。

 さらに日本の生命線のひとつである、右の橋岡、左の遠藤という両ウイングバックにボールが入ると、SBとインサイドハーフで囲み、サイドアタックを封じてきた。日本対策をしっかりやってきた印象だ。

 それに比べて、日本はどうだったか。例えば、橋岡にボールが入る瞬間、敵の左SBが寄せてきたら、その裏のスペースをシャドーの(鈴木)武蔵か、1トップの上田が狙わないといけない。そうすれば、橋岡がダイレクトで裏のスペースにパスを出すことができるし、CBを釣り出して、今度はゴール前にスペースを作り出せる。

 だけど、そういった共通認識がないから、出しどころがない橋岡は敵に囲まれてボールを下げることしかできず、畠中もプレーシャーをかけられているから、GKにバックパスをするか、アバウトにロングボールを蹴るしか選択肢がなかった。
 
 3-4-2-1で4-3-3を崩すには、敵のアンカーの両脇のスペースを、森島と武蔵の2シャドー、もしくは上田がうまく使えるかどうかが肝だった。ただ、ここぞというタイミングでパスが出てこなかった。

 強度の高い韓国をどう崩していくか。どこでボールを奪い、どうやってフィニッシュに持ち込むのか。そういった最低限の約束事、セオリーが欠けていたため、選手一人ひとりは頑張っていても、それがチームとして機能していなかった。

 森保監督は、「準備期間がなく、疲れもあるなかで選手たちは良くやってくれた」というようなことを言っていたけど、「時間がない」「疲れている」というのは言い訳だよね。ワールドカップでベスト8を目標にするなら、そのうえで結果を求めていかないと。

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