【コラム】なでしこジャパンが韓国戦で見せた執念。ようやく“勝ち癖”が備わってきた

2019年12月18日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

引き分けでも優勝できたが

88分、籾木のPKで勝ち越し。3連勝で優勝を飾った。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[E-1選手権2019/女子]日本1-0韓国/12月17日/釜山九徳スタジアム

 わずか218名しか観客がいなかった1戦目の台湾戦、少し増えたと言っても、それでも570名と盛り上がりに欠けた2戦目の中国戦と比べて、明らかにこの日の会場の雰囲気は変わっていた。

 E-1選手権で2連勝を飾ったなでしこジャパンは12月17日、釜山九徳スタジアムで最終戦の韓国戦に臨んだ。引き分け以上で優勝、しかし負ければ順位が入れ替わるという事実上の決勝戦。"日韓戦"ということも相まって、今大会ここまで男子の試合も含めて最多の4218人のギャラリーが集まった。

 選手の入場時には歓声が上がり、試合前からここまでの試合の何倍もの声量の応援歌が轟いている。そんな韓国サポーターに負けじと、アウェーチームのサポーターも、少ない人数ながらも懸命に「ニッポンコール」を送る。集客が問題視されていた今回のE-1選手権で初めて、ようやく国際大会らしい雰囲気が生まれていた。

 そんなスタジアムの熱気に促されるように、試合もキックオフ直後から激しい肉弾戦の様相を呈していった。
 
 イニシアチブを握っているのは日本。4分にはパスカットした三浦成美から中島依美とつなぎ、最後は池尻茉由が鋭いシュートを放つ。42分にもテンポの良いパスワークから中島のシュートチャンスを演出した。

 しかし大きなチャンスと言えばそれくらいで日本の攻撃は停滞気味だった。右膝の怪我を負った長谷川唯に続き、今大会2戦5発のエース岩渕真奈までもがコンディション不良で離脱するというアクシデントも大きかっただろう。ふたりの主軸を失ったことで、ゴール前でのクオリティは明らかに低下。さらにはライバル韓国が予想外の奮闘を見せたことで、なかなかゴールが奪えず、0-0のまま試合が進んでいった。

 それでもこの日のなでしこジャパンが見せたのは、勝利への執念だった。

 ついに均衡が破られたのは86分、エリア内でボールを受けた籾木結花のシュートが相手のハンドを誘い、PKを獲得。これを籾木自らが冷静に決め、ついに待望の勝ち越しゴールをゲットする。結局これが決勝点となり、4大会ぶり3度目の優勝を果たすのだ。
 

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