【高校選手権】山梨学院 1-0 滝川二|粘り強さに磨きをかけ

2014年12月31日 安藤隆人

「球際が強くなり、連続して強度の高いプレーができるようになった」

東福岡に敗れたインターハイでの悔しさを糧に、チームとして成長を遂げた山梨学院が、滝川二を下して2回戦へ。東福岡へのリベンジに向けて力強いスタートを切った。 (C) SOCCER DIGEST

 きっかけはあの一戦だった。地元で開催された夏のインターハイ。山梨学院大附属は3回戦で、東福岡と激突した。
 
 山梨学院はこの試合、守備の要のCB渡辺剛を欠きながらも、粘り強い守備と、機を見たカウンターで東福岡を苦しめた。0-1でリードされた後半31分、PKを獲得するが、MF大場祐樹のキックは大会屈指のGK脇野敦至に阻まれた。その後も再三決定機を作りながら、脇野の神懸かったスーパーセーブに阻まれ、悔しい敗戦を喫した。
 
 とはいえ、この試合がインターハイで東福岡が最も苦しんだ試合だった。山梨学院の選手は、自分たちはやれるという手応えを掴んだとともに、意識が変わった。
 
「東福岡の選手との体格差を痛感したと思う。相手の身体の分厚さ、ごつさを感じて、そこから食事や筋トレに対する意識がガラッと変わった。体重が増えた選手も増えたし、より力強くなった」。
 
 吉永一明監督がこう語ったように、「もともと粘り強さがウリでスタートした」(吉永監督)チームは、フィジカルが向上したことで、持ち前の粘り強さがさらに増した。
 
 選手権の初戦は、それが形になって表われた試合となった。立ち上がりから滝川第二の前からのプレスに苦しんだ。特に筒井要と高尾健太の2トップ、左サイドのテクニシャン・持井響太、ボランチの千葉涼介が果敢に前線に飛び出しては、シュートレンジに入ると思い切りよくシュートを放ってきた。分厚い攻撃を展開する滝川第二に対し、我慢の時間が続いた。
 
 だが、大野佑哉と渡辺剛のCBコンビ、右サイドバックのキャプテン・山中登士郎、大場祐樹と多田倫浩のダブルボランチを軸に、9本のシュートを浴びながら、コースを切ったり、身体を張ったりして、決定機は一度も作らせなかった。結果、後半28分にPKで決めた1点を守りきり、2回戦に駒を進めることができた。
 
「球際が強くなり、連続して強度の高いプレーができるようになった。今日はそれが出た」(吉永監督)
 
 持ち前の粘り強さに磨きをかけ、1回戦を突破した山梨学院大附属。2回戦以降もさらに強みを発揮して、宿敵・東福岡にリベンジするために。彼らは大きな一歩を踏み出した。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
 
山梨学院 1-0 滝川二
得点者/山=原(後半28分PK)

【高校選手権Photo】12月31日|1回戦
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