【高校選手権】流経大柏 3(8PK7)3 作陽|「福井マジック」炸裂で流経大柏が1回戦突破

2014年12月31日 平野貴也

土壇場で追いつき、PK戦では正GK負傷を乗り越えて勝利!!

スーパーサブの本領をこの試合でも発揮。自他ともに認める「持ってる」福井の値千金の同点弾で流経大柏は蘇った。 (C) SOCCER DIGEST

「作陽の逆転勝ち」というストーリーが見えた試合だったが、勝ったのは流経大柏だった。
 
 流経大柏は立ち上がり、MF久保和己を中心に積極性を見せ、ほぼ一方的に攻め立てた。前半21分に右からのクロスをFW高沢優也が決めて先制。その4分後にはセットプレーの流れから、DF本村武揚が頭で決めてリードを広げた。
 
 ところが、ここから作陽が鮮やかに巻き返す。2分後にセットプレーからDF山下裕司が押し込んで1点を返した後に敢行したスタイルチェンジが奏功したのである。
 
 1トップにFW浜野雄太を投入すると同時に、ロングキック主体からショートパス中心へとスタイルを変更。すると、本村の負傷交代によって久保を最終ラインに下げたことでプレスが弱まった流経大柏が、作陽のパス回しに押し込まれる展開となり、形勢は逆転した。
 
 後半は作陽が押し込み、後半23分にロングフィードで相手のGKとDFが交錯したスキを突いて、2年生MF伊藤涼太郎が同点ゴール。さらに後半33分、左サイドで相手の股を抜き去った伊藤涼が再び、鮮やかなシュートを決めて逆転した。
 
 作陽の野村雅之監督も「浜野の投入でリズムを変えるつもりだった。ゲームの流れは作れたと思う」と逆転勝利の手ごたえをつかんでいたが、総攻撃を仕掛けた流経大柏の圧力は、試合のストーリーを書き換えた。
 
 ロスタイム、流経大柏は左、中、左とつなぎ、高沢のクロスを相手GKが弾いたところを、後半17分に交代出場したFW福井崇志がプッシュ。ラストプレーで相手の逆転劇を阻んだのだ。
 
 県予選の3戦連続決勝点から"奇跡を呼ぶ男"として活躍している福井は、「本当は3-0とかから試合に入りたい。今日はボールを触れず、ゴールの形がイメージできなかったけど、最後に来た。当てるだけだった」と劇的ゴールを振り返った。
 
 勝敗はPK戦に持ち込まれたが、流経大柏はGK鳥井翔太がヒザを痛めてプレーを続けられないアクシデント。負傷の場合のみ認められる交代で瀬口隼季を投入。ともに失敗なく進んだ7人目、瀬口が相手のキックを止めて流経大柏がPK戦8-7で勝利を収めた。
 
 流経大柏の久保は、「本当に何とか勝ったという感じ。それにしても、福井は何なのかと思う。得点までは全然ダメで『ふざけるな』と思ったけど、最後はまたアイツだった」と苦笑いを浮かべた。
 
「福井マジック」で得た、薄氷の勝利だったことは間違いない。

文:平野貴也(フリーライター)

流経大柏(千葉) 3(8PK7)3 作陽(岡山)
得点者/流=高沢(前半21分)、本村(前半25分)、福井(後半40+3分) 作=伊藤(後半23分・33分)、山下(前半27分)

【高校選手権Photo】12月31日|1回戦
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