1月1日の移籍市場再開を前に! 欧州メガクラブの「強化部門」実力診断|ミラン編

2014年12月29日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

とりわけ南米に焦点を合わせて戦力発掘に取り組み始めている。

ミランの強化に関する権限を握るのがガッリアーニ副会長。こと移籍交渉の手腕に関しては、世界トップレベルだ。 (C) Getty Images

 欧州の移籍マーケットが1月1日に再オープンする。
 
 補強の構想を描き、ターゲットを絞り込み、交渉を進め、移籍オペレーションをまとめ上げるのが、各クラブの「強化部門」だ。いわばフットボールクラブの命運を握る重要なその強化部門、では、どのクラブのそれが優れているのか?
 
 当サイトの連載コラムでもお馴染み、移籍市場を専門にカバーする記者で、各クラブの事情に通じるジャンルカ・ディ・マルツィオ記者が、メガクラブの「強化部門」を診断した!
 
※ワールドサッカーダイジェスト2014.12.18号より
 
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 金庫は実質的に空になって、かつてのようなカネにモノを言わせた補強はもはや不可能。それに伴って、これまでは存在しないも同然だったスカウティング部門を整備し、無名だが伸びしろのある若きタレントの発掘に目を向けつつある。
 
 強化に関する権限は引き続きガッリアーニ副会長の手中にあるが、今夏からスポーツディレクターにロッコ・マイオリーノ、スカウト責任者に南米に強いサルバトーレ・モナコを据え、とりわけ南米に焦点を合わせて戦力発掘に取り組み始めている。
 
 ガッリアーニはこと移籍交渉の手腕に関しては、世界トップレベルだ。ただ、中・長期的な視野に立った計画性に乏しく、その時々の市場の状況に反応する形での"衝動買い"や"バーゲン買い"の多さが弱点。
 
 補強予算が削られたここ数年は、ネームバリューのあるボスマンプレーヤーとの契約と、期限終盤の数日間でメガクラブの余剰戦力となったビッグネームを獲得するという二本立てがメインオペレーションになっている。
 
 戦術的な要請に基づいてターゲットを絞るというよりは、その時のバーゲン品の中から一番良い選手を手に入れる、というやり方だ。メクセス、ロナウジーニョ、イブラヒモビッチ、ロビーニョ、モントリーボ、バロテッリ、カカ、メネーズ、D・ロペスなどがそれに該当する。
 
 ガッリアーニがトップに君臨する限り、こうしたアプローチは大きく変わらないだろう。しかし、彼とて永遠ではない(すでに70歳)。噂される通り強化部門のトップにセアン・ソリアーノ(現ヴェローナSD)のような若いエキスパートが就いた時には、現在とは大きく異なる計画的な強化戦略が採られるだろう。
 
【判定】(まずまず)
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
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