「スタッフに居て欲しくない」スペイン代表監督に復帰したL・エンリケ、代理を務めた右腕モレノを”追放”! そのワケは?

2019年11月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

「彼は来夏までチームを指揮したいと言った」

代理で指揮していたモレノ前監督(右)をアシスタントコーチに戻さなかったL・エンリケスペイン代表監督(左)。 (C) Getty Images

 スペイン代表は、家庭の事情で一時的に退任したルイス・エンリケ監督を呼び戻した。だが、6月から代わりに指揮を執り、チームをEURO2020本大会出場に導いたロベルト・モレノ前監督は、就任以前のようにアシスタントコーチを務めることなく、スタッフチームから"追放"されている。

 一部ではひそやかに両者の関係悪化が報じられていたが、L・エンリケ監督が11月27日の復帰会見で、自分が決めたことだ、と明かした。

 スペイン紙『MARCA』によれば、L・エンリケ監督は「モレノがスタッフに入らなかったことの責任は、私にのみある。ほかの誰でもない」と説明したという。

「すれ違いが生じたのは、9月12日のことだった。私の家で会った時のことだ。彼は監督として来夏のEURO本大会を戦いたいと言ってきた。その後、アシスタントコーチに戻る用意があると」

 モレノは、娘の病気で指揮官の座を離れたL・エンリケが復帰を望めば、自分はその座を返すと話していた。だが、いざ復帰となった際に、監督業を続けたいという気持ちが高まってしまったようだ。

 L・エンリケは、「驚きはしなかった。彼は野心的だし、20~30分のミーティングで話しているうちに、彼が代表監督を務めることについて意欲的であり、興奮していた。彼自身の力量に疑いもなく、一生懸命打ち込んでいたことが伝わってきたよ」と淡々と語った。

 だが、だからこそ、「彼のその態度は不誠実だと感じた」という。

「野心は時に非常に大きな欠陥となる。そして、見過ごせば大きな"欠点"になり得る。私は、自分のテクニカルスタッフに、そういう人間にはいてほしくない」

 EUROまで復帰せずに待つ考えも頭をよぎったというL・エンリケだが、「自分が選べる範囲のことで、最も間違ったことだと思った」と強調している。

 そして、今回の結末を、誇りには思わないが、悔やんでもいないという。

「人生には、人と出会い、誰が自分の友人で、誰がそうでないかが理解できる状況に陥る。私は、自分の仕事を疑っていない。だが、人対人との付き合いにおいて、私は真実とは異なる事実を信じてしまった。そういうこともあるさ、私は映画における善人でなければ、悪人でもない」

 そう言いながらも、会見の後半ではL・エンリケは「フィジカルコーチはモレノ…いや違った、留まるのはラフェル・ポルだ」と言い直す場面がみられたという。現地では「本当に彼の意志なのか?」と疑う声も上がっているようだ。

 指導者としての師弟関係、そして友情が壊れてしまったことが明らかになったスペイン代表。この出来事は、チームに何かしらの影響を及ぼすのだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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