怒涛の4連勝でJ1参入POに滑り込んだ甲府。大詰めで見出した勝利の形に逆転昇格の気配が漂う!

2019年11月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

3バックの新たな形と、明確なメッセージとなる交代カード

J1参入プレーオフ出場を確定させた甲府。終盤戦で戦いの形を見出し4連勝へとつなげた。写真:徳原隆元

 終盤の怒濤の4連勝で9位から5位に順位を上げてプレーオフに進んだ甲府。3度の3連勝が最高だったチームは、シーズンの大詰めに入り、勝ち切る勝負強さを発揮している。小出悠太の右ストッパー、新井涼平のリベロ起用とスイッチとなる交代。勝利の形がチームの中で共有された状態で一発勝負の戦いに突入する。

 ターニングポイントは4連勝が始まる前、引き分けに終わった38節の鹿児島戦。これまでリベロだった小出悠太を右ストッパーに回し、山本英臣をリベロに起用。試合は山本が前半の早い時間帯に退場するアクシデントで下位からの勝点1という残念な結果に終わったが、前へアグレッシブに守備ができる小出の右ストッパー起用はチームの新たな形となった。

 これまで右ストッパーは主に武岡優斗や小柳達司が務め、よく言えば競争力のある、悪く言えば絶対的な存在がいなかったポジション。鹿児島戦での小出の右ストッパーは、チームを一つにすることを期待されて先発した山本のリベロ起用の副産物的でもあったが、結果的に伊藤彰監督が求めるアグレッシブな戦いにはまる形が見出された印象だ。

 39節の京都戦は小出の右ストッパーを継続しつつ、リベロには新井涼平が先発。新井は最後方から大きな声を発し、チームをひとつにして方向付けられる存在として完封勝利に貢献した。そこからの4試合は最終節に累積警告で出場停止だった小椋祥平を除き、メンバーを固定している。伊藤監督も「一番後ろからアグレッシブさをチームに伝えてくれる」と新井の存在を高く評価。相手に主導権を握られる中でもポジティブな雰囲気で戦い続けられる重要なピースとなっている。

 3バックの新たな形が定まったことに加え、明確なメッセージとなる交代カードの存在も欠かせない。京都戦、続く40節の福岡戦では金園英学を途中交代で起用し、布陣を4-2-3-1に変更。いずれの試合も金園の決勝点で競り勝った。曽根田穣が「(金園が)入ってくることで点を取れる雰囲気はある」と語る通り、チームの中でも金園投入で1点は取れるという自信が感じられる。
 

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