1部復帰を狙うウエスカの浮沈の鍵を握るサムライ――岡崎慎司はレスター時代と何が変わったのか?

2019年11月16日 中村僚

岡崎に課せられた二つの役割とは?

キャリアで初挑戦となったスペインで輝きを放っている岡崎。その好調の要因を分析した。 (C) Mutsu KAWAMORI

 15節までを消化したラ・リーガ2部は、早くもシーズンのおよそ3分の1を終え、カディスが11勝2分2敗の勝点35で首位を快走。それに今夏に岡崎慎司が加入したウエスカは、8勝2分5敗の勝点26で2位につけているが、12位のラージョ・バジェカーノまで、わずかに6ポイント差と団子状態にある。

 1年でのトップリーグ復帰を目指すウエスカにとっては、ひとつのつまずきが大きく順位を落としかねない状況だ。それは今後も続いていくだろう。ここでは、そうした戦況で、気を吐いている岡崎の役割を読み取っていく。

 まずはウエスカの基本戦術を見ていこう。

 今シーズンのウエスカの基本システムは4−1−4−1(4-3-3)。ボールを大事に保持し、自陣から丁寧にパスをつないで攻撃を構築していくスタイルだ。

 起点となるのはホルヘ・プリードとトニ・タドコビッチの両CBと、アンカーに入るペドロ・モスケラというビルドアップ能力に長けた3人で、このトライアングルは相手のファーストプレスを剥がし、時には、右インテリオールのミケル・リコも加わってチーム全体を押し上げていく。

 攻撃の局面に入ると、ドリブルで違いを作れる左インテリオールのファン・カルロス、創造性に溢れる左サイドハーフのクリスト・ゴンサレス、右サイドハーフから中へ侵入できるダニエル・ラバがチャンスを創出する。

 そのなかで岡崎は、味方のアシストと自分でボールを受ける役割のふたつを両立させている。

 最前線で相手DFラインとの駆け引きを行ないながら、裏への飛び出しを見せてDFラインを下げさせ、中盤で味方が受けるスペースを作る時もあれば、逆に中盤まで降りて組み立てに参加し、前線への飛び出しを味方に託すこともある。この使い分けのバランスが絶妙なのだ。

 ファイナルサードでは、ペナルティーエリア内に陣取り、左右の揺さぶりとクロスに素早く反応してシュートまで持ち込む。チームメイトや相手の状況を見て、自分がもっとも生きる場所を探すインテリジェンスは、イングランドやドイツでプレーしていた時から不変である。

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