金田喜稔がキルギス戦を斬る!「スコア以上に“圧倒した”日本に逞しさを感じた。強いて課題を挙げるなら…」

2019年11月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

南野がチームの生命線に

自ら得たPKで均衡を破った南野。攻撃を牽引した。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 日本が格の違いを見せた、いい勝利だったと思う。もちろん簡単な試合じゃなかったけどね。

 あの寒さでピッチ状態も悪く、アウェーの雰囲気もあるなか、押し込まれる場面も少なくなかったけど、慌てふためくことなく、墓穴を掘るようなプレーはまったくなかった。安定感や心構えは素晴らしかったし、逞しさを感じたね。

 たかがアジアの2次予選で、という見方もあると思うけど、キルギスの個々の能力は低くなかったし、インドアサッカーで育ってきたな、と感じさせる技術の高さは侮れなかった。

 実際、ここまでの2次予選は、前半からチャンスが数多くあり、決定力の有無の話をしてきたけど、この試合はチャンスがなかなか作れなかった。それでも、相手にも決定機を作らせず、ピンチがあってもGKの権田がいいポジショニングで防いだ。試合を支配はできなかったけど、かといって支配はさせなかった。その点に成長を感じたね。

 膠着状態が続いたけど、前半終了間際と後半の立ち上がりという、いい時間帯で2点を奪い、勝負を決めてしまった。そこにはやはり、スコア以上の力の差を感じた。ワールドカップに5回連続で出場している国の経験値の違いを見せつけられたと思う。圧倒してるようには見えないけど、実は圧倒していたというか……。
 
 大迫や堂安、久保が不在で中島もベンチのなか、均衡を破ったのは、やはり南野だった。いつもファーストシュートを打つのはこの南野だし、先制点を奪うケースも多い。この試合でも、13分にヘッドで最初のチャンスを作り出し、40分にGKのファウルを誘って自らPKを獲得して先制ゴールを決めた。このお決まりのパターンは、チームの「生命線」のようになっている。

 大迫、中島、南野、堂安(久保)というカルテットは、これまでにはなかった破壊力だと思っているけど、なんだかんだ中心になっているのは南野だよ。シュートを外しても引きずらないメンタルの強さを感じるし、チームメイトも次は決めてくれると思ってボールを預ける。すっかり森保監督の信頼も勝ち取っている。

 原口も評価したい。前回のワールドカップであれだけ活躍しながら、中島に左サイドのポジションを奪われた形になっていた。だけどまったく動じることなく、先発起用に応えて、持ち味を存分には発揮した。チームに安定感をもたらしていたね。

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