ブレーメン戦でも決定的な仕事はできず……香川にとって苦悩の2014年は幕を閉じた

2014年12月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

ひと際大きな歓声を受けての復帰戦も遠い昔の話のようだ…。

チームの救世主とはなれず、チームとともに苦闘の道を歩むこととなった香川。来る2015年で状況は良くなるだろうか。写真はブレーメン戦。 (C) Getty Images

 ドルトムントは20日、ブンデスリーガ第17節で最下位ブレーメンと対戦して1-2の敗北。順位を落とし、21日にハノーファーと対戦するフライブルクの結果次第では、最下位で年を越すこととなってしまった。
 
 4勝3分け10敗……。怪我人の続出などのアクシデントがあったとはいえ、ドルトムントがここまで低迷するとは誰も予想しておらず、バイエルンのトーマス・ミュラーは「驚きではなく、ショックだ」とまで語っている。
 
 そんななかで、香川真司もまた、時とともに苦悩が増すこととなってしまった。出番のないマンチェスター・ユナイテッドから電撃的な復帰を果たしたのが8月末。ファンから大歓迎を受けたのも、遠い昔の話のようである。
 
 ひと際大きな声援を受けて地元ジグナル・イドゥナ・パルクに姿を見せた第3節のフライブルク戦ではチームのオープニングシュートを放ち、先制点の起点となり、さらに自身で2点目を決めるなど、これ以上ないかたちで復帰戦を飾った。
 
 古巣での再挑戦は順調に進むと思われた。実際、敗れはしたものの、内田篤人との対決ということでドイツでも大きな注目を浴びた第6節、シャルケとのルール・ダービーや第10節のバイエルン戦など、重要な一戦ではポテンシャルの高さを見せている。DFBポカール(国内カップ)2回戦ザンクト・パウリ戦での、1ゴール1アシストも光った。
 
 しかし、トップ下として、あるいはインサイドハーフとして継続して効果的なプレーを見せることはできず、逆に時が経つとともに組織のなかで機能する時間が短くなってしまっている(プレー時間そのものも減っているが)。
 
 もちろん、香川だけの問題ではない。チームとして見た場合、最大の問題は守備の崩壊だ。組織としてはもちろん、個々が時に信じられないミスを犯して自滅とも言えるかたちで得点を献上する場面が何度もあった。現代サッカーにおいて、これほどの脆い守備を攻撃でカバーするのは不可能であり、それどころか守備の不安は攻撃を妨げるものとなる。
 
 とはいえ、香川は駒のひとつというよりは、切り札、決定的な仕事を期待されていた側面もあり、そのぶん周囲からの失望は低くない。これについては、チーロ・インモービレ、アドリアン・ラモスといったFWのニューフェースも同様だが……。結局、バイエルンに引き抜かれたマリオ・ゲッツェ、ロベルト・レバンドフスキの穴はいまだ、ぽっかり空いたままとなっている。
 
 怪我が回復したイルカイ・ギュンドアンがトップ下として及第点以上のプレーを見せると、香川はいよいよベンチに座ったまま試合終了を迎えることも増えてきた。ブレーメン戦では交代出場し、いくつかチャンスはあったものの活かせず、試合勘が鈍っていると感じられる場面も少なくなかった。
 
 結局、怪我人が復帰しても調子が上がることのなかったドルトムントは、このウィンターブレイクを利用し、補強も含めてチームの立て直しを図る。1月9日からはスペインで合宿を行ない、国内外のクラブとの練習試合も予定されている。

 しかし香川は、アジアカップに招集されたことでこれに参加できない。夏、冬ともに準備期間でチームと行動を共にできないハンデは、決して小さくはないだろう。
 
 4年前は大会中に骨折の重傷を負い、残りのシーズンを棒に振ることとなったアジアカップ。2015年は逆に、ここで調子を取り戻し、そこからドルトムントでの逆襲につなげることができるか。
 
◆ドルトムントでの2014年公式戦全成績
第3節 ○3-1フライブルク 先発(64分間) 1得点
CL ○2-0アーセナル 出場なし 
第4節 ×0-2マインツ 先発(65分間)
第5節 △2-2シュツットガルト フル出場
第6節 ×1-2シャルケ 交代(34分間)
CL ○3-0アンデルレヒト フル出場
第7節 ×0-1ハンブルク フル出場
第8節 ×1-2ケルン フル出場
CL ○4-0ガラタサライ 先発(82分間)
第9節 ×0-1ハノーファー 交代(25分間)
DBF ○3-0ザンクト・パウリ 先発(88分間) 1得点
第10節 ×1-2バイエルン 先発(71分間)
CL ○4-1ガラタサライ 先発(63分間)
第11節 ○1-0ボルシアMG 先発(73分間)
第12節 △2-2バーダーボルン 先発(58分間)
CL ×0-2アーセナル 交代(30分間)
第13節 ×0-2フランクフルト 先発(74分間)
第14節 ○1-0ホッフェンハイム 出場なし
CL △1-1アンデルレヒト 交代(7分間)
第15節 ×0-1ヘルタ・ベルリン 出場なし
第16節 △2-2ヴォルフスブルク 出場なし
第17節 ×1-2ブレーメン 交代(45分間)

※第○節はブンデスリーガ、DFBはポカール、CLはチャンピオンズ・リーグのグループリーグ
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事