「まだまだ通過点」関東1部を圧巻の強さで制した明治大、12月のインカレでチーム初の三冠なるか?

2019年11月07日 小室功

リーグ制覇を決定づけた順天堂大戦も憎らしいほどの勝負強さを発揮

夏の総理大臣杯に続き、今季ふたつめのタイトルを手にした明治大。12月のインカレで三冠を目指す。写真:小室功

 追いかけてくる2位チームに最大14ポイントの勝点差をつけていた明治大が、今季の関東大学サッカーリーグ1部の王者に上り詰めた。夏の総理大臣杯に続き、これで二冠達成だ。

 だが、喜びもつかの間、明治大は早くも次なるターゲットに目を向けている。

「2016年に総理大臣杯とリーグ戦を制して、冬のインカレに照準を合わせていましたが、ベスト8で負けてしまった。あのときの反省を踏まえ、今年はインカレも優勝したいと思います。(決勝の)12月22日から逆算して、今、何をしなければいけないのか。日々、失敗と成功と修正を繰り返しながら、一つひとつのプレーの質を追求していきたいです」

 就任5年目を迎える栗田大輔監督は、こう言って"三冠"への並々ならぬ思いを隠さない。

 それは選手たちも同じだ。「まだまだ通過点」とキャプテンの佐藤亮が言えば、「僕らが目指しているのは真の日本一。ここで満足している選手はひとりもいません」と左アウトサイドの森下龍矢が力強くいい切った。

 関東大学リーグでは盤石の戦いぶりでVロードを独走した明治大だけに"三冠"も絵空事ではないだろう。

 3試合を残し、早々にリーグ制覇を決定づけた11月3日の順天堂大戦も憎らしいほどの勝負強さを発揮した。会場は大学サッカー界の聖地、味の素フィールド西が丘だ。3年ぶり5回目のタイトル奪還に向けて引き分けでもよかったが、「勝って決める」というのがチームみんなの合言葉だった。

「立ち上がりから相手のボールの動かし方に苦戦しましたが、前半の終了間際にキャプテンの佐藤(亮)が先制点を決めてくれたのが大きかったですね。優勝がかかる難しい試合。後半、何が起こるかわからないし、細かな修正点はありましたが、ここまでは100点満点だよとハーフタイムに伝えました」

 心なしかテクニカルエリアに出る回数が多かったような気がする栗田監督は、我慢が続いた前半をこう振り返りつつ、後半に向けて「最後は勝って終わろう」といって選手たちを送り出した。

 持ち味のハイプレスをかわされ、広いスペースにボールを運ばれたり、順天堂大の絶対的エース、旗手怜央にバイタルエリアでタメを作られたり、試合のペースを握られた明治大を蘇らせたのはFWの佐藤(亮)だ。

 40分、一瞬のスキを突く形で、頼りになるキャプテンの一撃が相手ゴールネットを揺らした。だが、喜びは小さかった。その理由についてコメントを求められると、「ゴールを決められたことは嬉しかったけれど、1点を取ったくらいでは安心できないなと思ったからです。相手には素晴らしいアタッカーがいますし、優勝するには"次、次"という気持ちのほうが大きかったので、それほど喜びが表に出なかったのかなと感じます」と、得点直後の心境を打ち明けた。
 

次ページ「明治大がもうひとつ上のステージにいくために」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事