ボールを持たれる珍しき姿…ポゼッション率35.8パーセントでも川崎が勝利に手応えを感じたワケ

2019年11月03日 本田健介(サッカーダイジェスト)

後半は広島に主導権を握られるも勝ち切る

2-1で広島に競り勝った川崎。台所事情が苦しいなかで、粘り強く戦った。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ30節]川崎2-1広島/11月2日/等々力

 上位対決となった広島との一戦を、一度は同点に追い付かれながら、84分のマギーニョの決勝弾で制した川崎は、順位を4位に上げた。

 もっとも試合内容は苦しかった。21分に田中碧のミドルで先制したものの、その後はパスミスも散見され、特に後半は広島に押し込まれた。これまで突き詰めてきたパススタイルが持ち味の川崎としては、珍しい展開だ。ポゼッション率は35.8パーセントと64.2パーセント(データはopta提供)と、広島に大きく上回られたのだ。

 ただしエクスキューズはある。広島戦は累積警告で家長昭博、車屋紳太郎、ルヴァンカップ決勝で退場処分を受けた谷口彰悟が揃って出場停止で、さらに守田英正ら複数の負傷者を抱えた苦しい状況だったのだ。だからこそキャプテンの小林悠も勝てたことに意味があると話す。

「まさに総力戦。怪我人、出られない選手がいるなかで、結果にこだわってやっていました。リードを守ってそのまま終わらせられれば良かったですが、追い付かれたあとは勝ちにいくという皆の意思が合っていたので、(決勝弾の)マギーニョのゴールにつながったと思います。ひとつになって戦えていたという実感があります。

(後半は)押し込まれていましたが、前みたいにやられそうな感覚はなくて、外から見たらまた違ったかもしれませんが、なんというか逆に押し込ませているではないですけど、自分たちとしてはやり辛さはなかったです。カウンターで一本取れればと考えていました。今日のメンバーでは割り切ってやろうと考えていたので、悪い戦い方ではなかったと思います」

 また左SBでプレーした登里享平も「割り切るというか、1失点はしましたが、最後のところでやらせないというところはできたと思います。(CBの)ヤマくん(山村和也)、奈良(竜樹)ちゃんも含めて最終ラインの押し上げもそうですし、コンパクトに、ボールを持たれる展開も多かったですが、細かいラインの上げ下げはできていました」と語る。

 さらに山村和也も「後半は相手がシステムを変えてきて、押し込まれる展開が続き、失点をしてしまいましたが、よく守ることはできたと思います。全体的にそこまでストレスはなく、皆が役割を果たしたのかなと感じます」と振り返る。

 主力数人を欠き、さらに準備期間はあったとはいえ、大会初制覇を成し遂げた1週間前のルヴァンカップでは120分を戦い抜いた。コンディション面でも万全ではなかった状況で、粘り強く勝ち切った点に選手たちは手応えを感じたようだ。

 試合途中には司令塔の中村憲剛が負傷交代するアクシデントにも見舞われたが、"らしくない"試合運びで広島を下した川崎は、貴重な勝利を手にしたと言えるだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【川崎 2-1 広島 PHOTO】田中のミドル弾炸裂!上位対決を制した川崎が4位浮上!
 
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