放火で服役中の元バイエルンDFが仮釈放、ブラジル帰国へ――

2014年12月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

ここ数か月は刑務所と練習場の往復という日々を送っていた。

 テクニカルかつ高い戦術眼を持つCBとして、ミドルティーンにしてサンパウロで脚光を浴び、2007-08シーズンにはバイエルンに移籍したブラジル人のブレーノは、11年9月に自宅に放火した罪で3年9か月の実刑判決を受け、12年より服役していた。
 
 泥酔しての犯行だったが、これに対してバイエルンは服役中もブレーノにユースチームのコーチという役職を与え、最近は刑務所と練習場の往復という日々を送っていたという。
 
 そしてこのたびドイツの裁判所は、模範囚としてブレーノの仮釈放を決定。ブレーノは12月20日までにブラジルへ帰国し、最低3年間はドイツには入国できない。
 
 今後について、ブレーノはサンパウロで選手としてのキャリアを再開したいという意向を持っているようだ。
 
 この25歳の犯行については、若いうちに期待を受けて名門クラブ入りを果たすも、そこから伸び悩んで出場機会にも恵まれず、精神的に病んでいたということも一因であるといわれている。
 
 期待と注目を集めるがゆえに、プレッシャーから精神を蝕まれるケースは過去に多く存在し、ドイツの創造的なMFだったセバスティアン・ダイスラーが鬱病を発症して27歳の若さで引退したのは有名だ。同国では代表GKのロベルト・エンケも鬱病のため、09年に自ら線路に身を投げて命を絶つという悲劇も起こっている。
 
 一方、スペイン代表だったDFイバン・カンポは、98年にマジョルカから名門レアル・マドリー入りというサクセスストーリーを実現するも、プレッシャーや周囲からの厳しい視線や意見によってノイローゼとなった。彼の場合、新天地に選んだプレミアのボルトンでは伸び伸びとプレーし、ボランチとして新境地を切り拓くなど、見事に病を克服している。
 
 冒頭のブレーノについては、精神的に追い込まれることと、他者を傷付けたり、犯罪に走ることは全く別のものとして考えるべきだ。ただ、選手が過酷な環境に身を置いているのは事実である。得るものが多い一方で、それ以上に多くのものを失うリスクに、ピッチの上の人間たちは晒されているのだ。
 
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