【柏】「後ろの感覚を理解してくれている」。左SHに”復帰した”瀬川祐輔の献身について、左SB・古賀太陽の考察

2019年10月28日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「例えば、相手のCBがフリーで侵入してきた時…」

福岡戦で瀬川の献身ぶりは素晴らしかった。写真:徳原隆元

 思わず感心してしまうほど走っていた。柏の瀬川祐輔についてである。

 9月以降は主に右SBを任されていた瀬川は、前節の千葉戦に続いて福岡戦でも左サイドハーフで先発。相手のビルドアップの際には、相当な強度で対峙した右SBにプレスをかけ、攻撃から守備への切り替えも早い。ボールロストの後に、ファーストプレッシャーをかけたのは瀬川だった回数は多かった。それは左サイドのみならず、持ち場を離れて中央、右サイドへとサポートしていたところも、決して見逃してはいけない好プレーだっただろう。

 とにかく、瀬川は守備で縦横無尽に細かく動き直していた。記者席から見てもかなり走っていたことは明らかだったが、目の前でプレーした18番について左SBの古賀太陽が、"後ろ"の視点で興味深いことを述べていた。

「瀬川くんはたぶん、サイドバックをやっていたからというのもあると思うんですけど、後ろの感覚を理解してくれています。どこが一番危ないのかだったり、どこにボールを誘導したら奪いやすいのか、みたいなものは瀬川くん自身がすごく理解している部分も多いと思う。自分からも声はかけますけど、自主的にああやって走ってボールを取ってくれるのはありがたいです。僕としても見える視界がハッキリするのはすごく大きい。瀬川くんの守備での貢献は助かっていますし、感謝しないといけないと思います」

 古賀は「後ろの感覚」について、さらに詳しく解説してくれた。

「例えば、相手のCBがフリーで侵入してきた時に、今日で言えば瀬川くんと任くん(=2トップの左でプレー)の間を先に消したほうがいいのか、外を消したほうがいいのか。その優先順位みたいなものは、たぶん本人が一番理解していると思う。後ろの感覚を理解してくれているからこそ、相手が上手くその辺りで崩せなかったと思う。(パスコースを)消してほしいタイミングで消してくれるというのはすごく大きいです」
 

 瀬川本人にも走力について聞くと、「それがベースなので、相当に走った感覚はないです」と述べる。そして、「守備が楽しくなった節もありますか?」と質問すると、こう答えた。

「サイドバックも楽しかったですし、別に嫌々やっていたわけではないので、それがサイドハーフになっても守備の部分で活かされている。パスで剥がされてまた追わないといけなくなっても、そのストレスはあんまり感じなくなりました」

 福岡戦で瀬川は49分にクロスからオルンガのゴールを演出し、69分にもマテウス・サヴィオの得点をアシストしたが、自身はネットを揺らせなかった。現在の柏では、ふた桁得点を決めているオルンガや江坂、さらには福岡戦で負傷欠場したクリスティアーノが目立つのは仕方ないだろう。ただ、それでも、古賀が感謝している通り、言わば左サイドハーフに"復帰した"献身的な瀬川も、いまの柏には絶対に欠かせない存在だ。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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