モンゴル戦での“危機感”が橋本&堂安を成長へと導いた。11月のアジア2次予選では思い切った選手起用を見てみたい

2019年10月17日 佐藤俊

橋本と堂安がタジキスタン戦で見違えるプレーを見せたワケ

ホーム初戦でともに出番がなかった堂安と橋本。タジキスタン戦では見違えるプレーを見せた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 タジキスタン戦のスタメンを見て、森保一監督は選手マネジメントがうまいなと改めて思った。
 
 アジア2次予選第2戦のモンゴル戦では、9月の2試合でボランチとして起用した橋本拳人を外して遠藤航を起用した。ホームでの初戦というプレッシャーがあるなか、代表20試合の遠藤の経験を評価して起用したわけだが、同時に9月シリーズで柴崎岳の後方支援に重きを置いた橋本に遠藤のプレーを見せて、何かを感じてほしいという思いがあったはずだ。
 
 モンゴル戦は、遠藤の良いところが多分に出ていた。リオ五輪代表ではボランチとしてプレーしており、守備力があるのはもちろん、当時から縦パスを入れて攻撃のスイッチを入れたり、前線に走り込むなど、攻撃に積極的に絡んでいた。そういったプレーをモンゴル戦でも見せ、柴崎とのバランスも非常によかった。
 
 タジキスタン戦で、橋本のプレーは前半こそ慎重だったが、後半は見違えた。0-0の状況だったので、多少前掛かりにならざるを得ない状況だったが、積極的に前に絡んでいった。高い位置で潰してボールを奪い、ショートカウンターを発動させる起点にもなっていた。少なくとも9月とは違うプレーを見せていた。
 
 U-22日本代表とU-22ブラジル代表の試合を見ていたが、ブラジルのボランチは技術が高いのは当然として守備が強く、スピードもあり、ひとりで攻撃を完結してしまう強さを持っていた。橋本にそのレベルまでは求めないにしても、自らの守備面の良さだけを出してプレーしていればいいというレベルでは成長はおぼつかないし、世界では戦えない。
 
 ただ今回、遠藤のプレーから何をすべきかを理解した橋本は、タジキスタン戦で見違えるような働きを見せた。同じ選手を起用すればコンビネーションは磨かれるが、個々の選手の成長は必ずしも右肩上がりというわけにはいかない。だが、一度スタメンを外されて、課題を突き付けられてスタメンに復帰した時、選手は当然"危機感"を覚えて必死にプレーし、足りなかった部分を見せようとする。その繰り返しで選手のレベルが上がっていく。

次ページもっと若い選手を組ませてみても良いのではないか…

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