【鹿島】ルヴァン杯敗退も「一番難しくて、楽しいのはここから」。内田篤人や伊藤翔が示した気概

2019年10月14日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「僕らみたいな年齢が上の選手が率先して」(伊藤)

同じ88年生まれの内田(2番)と伊藤(15番)。経験あるふたりが、チームを再び、蘇らせる。写真:徳原隆元

[ルヴァンカップ準決勝第2戦]鹿島0-0川崎/10月13日/カシマ

 川崎とのルヴァンカップ準決勝で、アウェーでの第1レグを1-3で落としている鹿島が決勝に進むためには、ホームでの第2レグでは勝利はもちろん、最低でも2点が必要だった。だが、結果は0-0のスコアレスドロー。トータル1分1敗の戦績で大会敗退が決まった。

 点を取らなければならない一戦だったが、とりわけ前半はまるで攻撃が機能せず、シュートはゼロ。川崎の組織的な守備の前に、まるで良いところなくハーフタイムを迎えた。

 後半に向けて不安ばかりが募る内容だったが、内田篤人の見方は違った。

「でも、0-0だから。ミスも多かったけど、あれで0-0ならラッキーだと思っていたけど」

 チームの戦いぶりには満足していなかったようだが、しかしそれを悲観的には考えず、むしろ前向きに捉えていた。

 とはいえ、結局、鹿島はファイナルに進めなかった。内田は「"たら・れば"はないけど」と断りを入れたうえで、先制しながらも逆転負けを喫した第1レグを改めて悔やんだ。

「すべては1戦目の最後の2失点だと思う。(1-1で迎えた)ラスト10分に2点取られるのは、強いチームがやるサッカーではないかな。決勝とかでね、攻めに出て、残り10分でやられるのは分かるけど、2戦目があるのに、最後に失点するっていうのは……」

 たしかに、第1レグを1-1で終えていたら、第2レグは0-0だとしても、アウェーゴールを奪っている鹿島が決勝に駒を進められる――。
 
 もちろん、それは仮定の話以外の何物でもなく、内田自身、そんなことは百も承知である。第1レグが1-1のままなら、第2レグでの川崎の戦い方も当然、変わってくるはずだし、すべては内田が言うように、"たら・れば"の域を出ない。

 事実として、鹿島はACLに続き、またひとつ、タイトルを逃した。レオ・シルバ、三竿健斗、セルジーニョに続き、今回の川崎戦では犬飼智也が開始わずか4分で負傷交代と、主力に怪我人が相次ぎ、頭を抱えたくなる状況だが、内田はすでに切り替えている。

 週末には、リーグ戦のアウェー松本戦が控えている。前節にFC東京から首位の座を奪還。下を向いている暇はない。

「これ(ルヴァンカップ敗退)で、ずるずる行かないように。せっかく首位まで来たんだから。ここから、ここから。一番難しくて、楽しいのはここから」

 天皇杯もベスト8に進出。まだ"2冠"の可能性が残されている。内田と同じ88年生まれの伊藤翔も、「首位にいるアドバンテージはもちろん活かしたいし、天皇杯もリーグ戦も、ひとつずつ丁寧に戦っていくしかない」と言葉に力をこめる。ただ、「今日(川崎戦)みたいに、消極的じゃないけど、そういうプレーをしていたら、首位のアドバンテージなんて微塵もないんで」と語りつつ、「そこだけは練習中から意識を変えないと。僕らみたいな年齢が上の選手が率先してやっていきたい」と意欲を燃やす。

 タイトルを義務付けられた『常勝軍団』がこのまま終わるわけにはいかない。前だけを見つめて突き進み、"強いチーム"であることを証明したい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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