「お前の代わりはいくらでもいる」「サッカーやめちまえ」認定された曺貴裁監督のパワハラ行為とは? 一方で選手からは感謝の声も…

2019年10月04日 渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)

「あそこまで選手と向き合ってくれる監督はいない」

現在指導を自粛している湘南の曺貴裁監督。2012年から湘南を率いている。(C)SOCCER DIGEST

 一部報道にも出ていた湘南ベルマーレの曺貴裁監督のいわゆるパワハラ疑惑について、10月4日、JリーグはJFAハウスで調査結果の報告会見を開いた。

 会見の場でJリーグの村井満チェアマンは「競技上、大きな声を出す、身振り手振りが大きくなる、短い言葉で話さなければいけない、などピッチの上では一般社会と違った部分も容認されるべき」と語るが、「人格を否定するなど、そういう言動はどこであれ許されない」と、毅然とした態度を示した。

 調査チームの代表として会見で説明していた芝昭彦弁護士も「選手に対しては曺貴裁氏が弁明している通り、悪意は感じられなかった部分もあるが、実際に精神的な部分で『オーバートレーニング症候群』と医師に診断された実例もある通り、指導のやり方、言い方も考えなければならない。またスタッフに対しては、相手に対するリスペクト、仕事仲間に対するリスペクトが感じられない部分が多い」と総評した。

 実際に報告書を見ていくと、7月に行なわれた湘南の福島キャンプ時に、練習中にボール拾いや水分補給等の業務をしているスタッフに対して、「お前ら何年やっているんだ」などと怒鳴り「お前の代わりはいくらでもいる」と叱責。

 また他の場でもスタッフをミーティングから締め出したり、「メディカル全員替えてもいいんだぞ」「お前は無能だ」等の発言があり、同様の振る舞いや言動は基本的に全てのスタッフに対して行なわれていた可能性が高いという。さらに、ウォーミングアップ担当コーチには怒鳴りながら顔に手を押し当て床に押し倒すという行動にも出ていると認定されている。一部では「何発か殴った」との供述も出ている。

 一方選手に対しては、「お前の代わりはいくらでもいる」「サッカーやめちまえ」など強い発言もあったものの、「あそこまで選手と向き合ってくれる監督はいない」「曺さんのおかげで選手として成長できた」という感謝やその指導法に憧れてチームに入った選手がいたのも事実だ。

 今回の案件でJリーグは、曺監督個人にけん責(始末書をとり、将来を戒める)と公式試合5試合への出場資格停止。また、湘南ベルマーレ、クラブに対して、けん責(始末書をとり、将来を戒める)と制裁金200万円という内容の制裁を科している。

 Jリーグとしての判断は下されたが、湘南のクラブとして、また地域社会の一企業として今回の事態にどんな判断が下されるのだろうか? 本日夕方に湘南のクラブとしての判断を発表する予定だ。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事