「僕の夢はもうホラに近い」「2025年までにJ1優勝」経営者・岡田武史が明かすFC今治の”理想と現実”

2019年10月02日 渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)

「単にサッカーを強くするだけじゃ我々の場合はダメ」

FC今治のオーナーとなって5年。岡田氏の情熱はいまだ衰えることを知らない。(C)SOCCER DIGEST

 9月1日付けでデロイト トーマツ グループの特任上級顧問に就任したのが、元日本代表監督で現在FC今治でオーナーを務める岡田武史氏だ。コンサルティング大手のデロイト トーマツグループが集計した「Jリーグマネジメントカップ2018」の発表会見の場に登場し、FC今治のクラブ運営で培った経験を大いに語った。

「僕ら、会社を立ち上げて5年になるんですけど、最初の頃は6人だけで、ワケが分からなくていろんなことをやっていました。車にポスター貼って走ったり、駅でビラ配ったり、いろいろやりました。ただ、それでもなかなか認めていただけない。

 例えば今治は野球の街で、16万人しかいない、高齢化率の高いところで、当時スタジアムがないなか、運動場に仮設で作ったところに2000人のお客さんが来てくださったんです。じゃあこのお客様のうち、何人がサッカーを観に来ているだろうと。僕は200人くらいだと思いました。それ以外の人は何で来ているんだろうと。

 街中行ったら商店街はシャッターが閉まっていて、人が歩いていない。閑散としている。ところがFC今治のスタジアムに行ったら、なんかにぎわいがあってワクワクすると。普段は人とも出会わないけど、新しい人と出会って、新しい絆ができると聞きました。そういう人たちに、サッカーが強いですよ、サッカーが面白いですよだけじゃなくて、お客様の求めているモノを提示しなくてはいけないんじゃないかと」

 そんな目に見えない、数字にできないものの重要性に気付いた岡田氏は、クラブだけではなく、今治の地域に根付いた包括的な活動を行なうようになったという。

「俺たちここへ来て2年になるけど、今治の友達いるやついるかと訊いたら、誰もいなかったんですよ。みなさんに来てくださいと言ってきましたが、俺たちが街に出て行かなければいけないと。

 それから残業を8時までにして、友達5人作らなきゃ罰金ってことにして。みんなフットサルクラブに入ったり。孫の手活動と言って、おじいちゃん、おばあちゃんたちで困っている人がいたら何でも手伝いますということを、子どもたちやコーチでやったり。木を切ってくれ、が多いんですけどね(笑)。『バリチャレンジユニバーシティー』という、大学生を集めたワークショップをやったりとか、結局そうやって皆さんに認めてもらうために、単にサッカーを強くするだけじゃ我々の場合はダメだと気付いたんです」

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