【昇格プレーオフドキュメント】津田知宏「真のエースになった日」――回想2013年

2014年12月07日 週刊サッカーダイジェスト編集部

「相手よりも先にボールへ」という想いが結果に。

抜群の動き出しでDFの裏を取り、ワンタッチでゴールを決めた。 (C) SOCCER DIGEST

 12月7日に千葉と山形が決勝を戦うJ1昇格プレーオフ。過去2年は大分と徳島がそれぞれ激闘を制し、J1への最後の切符を手にした。
 
 熾烈を極め、ドラマに満ちたこのラストバトルを『週刊サッカーダイジェスト』のアーカイブから振り返る当企画。
 
 13年のプレーオフ。徳島を初のJ1昇格に導いたのは、「肝心な1ゴールを取る」と強い決意で臨んだエースだった。
 
※週刊サッカーダイジェスト2013年12月17日発売号より
 
【SD写真館】J1昇格プレーオフ――激闘の記憶
 
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 1点リードして迎えた前半終了間際、徳島のエースに見せ場が訪れた。
 
 自陣から藤原が前線へロングフィードを送り、それを高崎がヘッドですらしたボールが、相手ディフェンスラインの背後へこぼれる。
 
「思ったより(ボールが)流れたので狙いどおりではなかったけど、なにがなんでも相手より先に触ろうと思っていた」
 
 ボールに食らいつこうと急激にギアを上げた津田は、京都DF陣よりいち早くペナルティエリア内に辿り着く。右足から振り抜かれたシュートは、昨季まで同僚だったオ・スンフンが守るゴールを見事に射抜いた。
 
「あの時の悔しさは、本当、言葉にならないんでね……」
 本人がそう回顧するのは、あと一歩で昇格を逃した2年前のシーズンだ。「最後の3試合で自分が1点でも取っていれば、状況は変わっていたかもしれない」と悔やむように、終盤戦で失速した要因のひとつには、津田の不振があった。

次ページ虎視眈々と“その時”を狙い続け――。

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