ダービーでJ・フェリックス交代時に鳴り響いたブーイング。なぜアトレティはシメオネ監督への不満を露わにしたのか?【現地発】

2019年10月01日 エル・パイス紙

7番は待ち味を発揮できなかった

初のダービーでは結果を残せず。J・フェリックスは70分に交代を告げられた。(C)Getty Images

 ジョアン・フェリックスがアトレティコ・マドリーに移籍して初めて迎えたマドリード・ダービーは、低調なパフォーマンスに終わった。本来はこうした大一番で持ち味を発揮するハートの強さが持ち味であるが、ほとんど攻撃に絡むことができなかった。

 立ち上がりは期待を抱かせた。開始5分、絶妙なコントロールでパスをはたいてセルヒオ・ラモスの裏に抜けようとすると、百戦錬磨のCBは進行方向に入り込んで行く手を妨害。イエローカードを出されてもおかしくないプレーだったが、開始直後ということもあり主審のゴンサレス・ゴンサレスは提示を見送った。

 さらにその2分後にはジエゴ・コスタのパスに呼応して裏に抜けると、一気にゴール前へ突進。セルヒオ・ラモスをはじめとした相手DF陣をスピードで振りきり観客を沸わかせたが、角度のないところからのシュートはコースを狙い過ぎて枠の外に飛んでいった。

 この精度不足はコントロールやパスといった他のプレーにも共通して見られた傾向で、両軍すべての選手がディエゴ・シメオネ、ジネディーヌ・ジダンの両将が立てたゲームプランを遂行することに躍起になり、ボールロストが頻発した試合の流れに完全に飲み込まれた格好となった。
 
 その後も7番がボールを持てばメトロポリターノは沸いたが、そのプレーは不発に終わり、ため息を誘うばかり。しまいには守備に奔走する姿のほうが目立つ有様だった。後半に入って挽回しようと試みたが、これといった見せ場は作れずじまい。結局、交代直前の69分に背後からラファエル・ヴァランヌに蹴られ、イエローカードを誘ったプレーがこの日最後のアクションとなった。

 むしろ注目に値したのが、その70分の交代時にスタジアム中に鳴り響いたブーイングだった。ここまでラ・リーガで7試合に先発で起用され、フル出場したのは一度だけと途中交代がもはやルーティンと化しているが、この試合に関しては途中でベンチに下げられても致し方のない内容だった。

 アトレティコは今夏に大型補強を敢行し、周囲の期待値も自ずと上昇している。しかしいざ蓋を開けてみると、開幕以来、チームはこれまでと代り映えしない守備的で退屈なサッカーを見せ続けている。J・フェリックスが低調なパフォーマンスに終わったのは、本人の責任以上にシメオネ監督の野心の欠如と関係がある。

 アトレティ(アトレティコのファン)はその不満を、新生アトレティコの「希望の星」の交代時という象徴的なタイミングで、ブーイングという形で指揮官に訴えたのである。

文●ラディスラオ・ハビエル・モニーノ(エル・パイス紙アトレティコ番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
 

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