「代表に選手は貸さない!」ドイツの“守護神論争”にバイエルン会長が介入。泥沼化は不可避か!?

2019年09月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

「テア・シュテーゲンは守護神にふさわしくない」と言い放ち…

ノイアー(右)とテア・シュテーゲン(左)。どちらも世界屈指の実力を持つGKだけに守護神として選択するのは難題だ。 (C) Getty Images

 ドイツ代表の守護神の座を巡る二人の名手の言い争いは、泥沼化の様相を呈している。

 発端は、バルセロナで守護神を務めながらドイツ代表では控えGKとなっているマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンがドイツ・メディア『T-Online』のインタビューで、「正直、ちょっと気が狂いそうになる時はある。どれだけ自分がベストを尽くしても、望んだ場所にいられない」と吐露したことにあった。

 この不満とも取れる発言にノイアーも反応。ドイツ衛星放送『Sky』のインタビューで、「彼は代表チームにいた時は何も言わなかった。ああいった言動はチームの助けにはならない。ドイツには、他にも、ケビン・トラップやベルント・レノもいる」と言い放ったのである。

 しかし、その偉大な先達の言葉にテア・シュテーゲンは黙っていなかった。公式会見の場で、「僕にだって言いたいことはある」と呼応し、「ノイアーが僕の個人的な感情について何かを言う必要はないと思う」と反論したのだ。

 これに6歳年上でもあるノイアーは、「僕らが直接話し合うのがベストな解決方法だ」と語り、冷静に事態の収拾に努めた。

 このノイアーの言葉で収束へ向かうかに思われたドイツ代表の守護神論争だったが、思わぬところから横やりが入った。バイエルンのウリ・ヘーネス会長が、ドイツ紙『Bild』の取材で、「マヌエルが控えに甘んじることは到底受け入れられない」と異議を唱えたのだ。

 67歳の名物会長は、さらにこうも続けた。

「テア・シュテーゲンはまるでワールドカップを17回優勝したかのように話すが、彼は(ドイツ代表の正GKに)ふさわしくない。マヌエルこそがナンバー1だ。議論の余地はない。もしも、代表チームから守護神の交代を伝えられるようなことがあれば、我々はこれ以上、選手たちを貸し出すつもりはない」

 強い口調でボイコットの可能性を示唆し、下火となりかけていた論争を再燃させたヘーネス会長に対し、ドイツ・メディア『Deutsche Welle』は、「全くもって不必要な介入」と非難。さらに「会長のせいで、二人(テア・シュテーゲンとノイアー)の対立は激化している」と現状を綴った。

 では、実際のところ代表をボイコットすることは可能なのか? かつてのバイエルンのレジェンドで、現在はドイツ代表のチームマネージャーを務めているオリバー・ビアホフは、「FIFAのルールにより、クラブは選手を代表に送り出す義務がある」とヘーネス会長を牽制した。

 来る10月の代表シリーズで、アルゼンチンとエストニアと対戦予定となっているドイツ。そこで、ヨアヒム・レーブ監督を含めたドイツ代表の首脳陣は、再燃してしまった"守護神"問題にケリをつけるのか――。「GK大国」が揺れている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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