渋谷も活動のターゲットに──。大金社長が思い描く「FC東京の未来」

2019年09月24日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

今後は23区での活動も増やしていきたい

FC東京の大金社長はクラブの未来をどう考えているのか。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 2019年9月19日、渋谷ヒカリエで「Meet-Up『街とスポーツのミライ』」というイベントが行なわれた。これからの街とスポーツとのあるべき形について、スポーツチームと街や地域社会との関係性、その未来について実際にプロスポーツチームを運営する代表たちがパネルディスカッション形式で対談したのだが、パネラーのひとりがFC東京の大金直樹社長だった。

 プロバスケットボール選手(現・京都ハンナリーズ)の岡田優介氏、スポーツ庁 参事官(民間スポーツ担当)付・参事官補佐の忰田康征氏とともに登壇した大金社長は、その中で「ホームタウン活動の回数はJリーグのクラブの中で最も多い」、「サッカースクールは都内で21か所。約4000人[mk2]のスクール生が在籍」と地域との密着をアピールした。

 「実は渋谷でこういうイベントに参加するのは初めて」という大金社長は、ここからさらに"FC東京の輪"を広げようと考えている。

「東京23区の渋谷で今後どう(FC東京が)活動していくか。いろんな協力体制の下でやっていきたい」

 府中・三鷹・調布・小平・西東京・小金井という6市へのホームタウン活動が充実してきたタイミングで、大金社長が本格的に着手しようとしているのがそれ以外の地域への取り組みだ。東京23区全域で今後さらにFC東京の存在感を高めるためには、従来のやり方とは違う方法を考えないといけないという。

「23区へのやり方を見出さないといけません。6市(府中・三鷹・調布・小平・西東京・小金井)と23区の特性はまったく違うので、これまでと同じアプローチはしない予定です。6市を中心とした活動については"足"を使って点から線に、そして面に広がりを増やしてきましたが、23区は顔が見えにくいところも多く、東京らしくデジタル的なものを活用したいと考えています」
 
 活動の拠点のひとつにしたいのが、渋谷区だ。実際、10月1日の都民の日に『2019 F.C.TOKYO NIGHT in SHIBUYA』として、「2019 東京ドロンパ Birthday Party」および「FC東京スペシャルトークショー」を同時開催する予定だ(会場は渋谷DAIA。詳細はFC東京のホームページに掲載)。大金社長は言う。

「10月1日は我々クラブが創立した日であり、そのタイミングで『FC東京の何かイベントが都心であるらしいよ』というものがこれから浸透してくれると嬉しいです。今回は渋谷でやりますけど、次は浅草寺や東京タワーでやるとか、23区内での活動を積極的にやりたいと思っています」

 なぜこうした活動を増やすのか。この問いに、大金社長は次のように答えた。

「いきなりスタジアムに来てもらうのは難しいと考えています。まずは、FC東京というクラブを認知してもらう。そこからこのクラブを応援しようという気持ちが生まれ、スタジアムに足を運んでもらう。0から1、1から2になるようにしっかりとステップを踏む必要があります。これまでは観客動員数を増やそうとして、いきなり"2"を求めていましたが、そうではなくて、まずは0を1にする。そのうえで、23区、特に渋谷での活動は今後のきっかけを作るうえでポイントになると思います」

 重要なのは、"掘り起こすこと"。アウェーの神戸戦が行なわれる10月19日にも渋谷でイベントを予定しているFC東京が今後どう23区の人々とつながりを持ち、そこで新たな発見を見出し、クラブの発展につなげていくのか。注目したい。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
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