激化するJリーグへの“青田買い”の波。小笠原満男&遠藤保仁のキャリアが示す海外だけがその道ではないワケ

2019年09月25日 二宮寿朗

早く海外に渡っておきたいという選手の気持ちは理解できるが…

Jリーグ一筋の遠藤(写真左)と、日本復帰後にチームのリーグ3連覇に貢献した小笠原満男(写真右)。(C)SOCCER DIGEST

 海外挑戦のカタチが変わってきた。これまでは昨年末トゥールーズに移籍した昌子源のようにJリーグや日本代表で活躍して海外に行くのが一般的であった。ACLのタイトルと300万ユーロ(約3億5000万円)と報じられた移籍金を置き土産にした昌子の海外挑戦は、まさに理想形だと言えた。26歳での移籍はちょっと遅かったのも事実ではあるが。
 
 しかし今夏、20歳前後のタレントの海外移籍が相次いだ。東京五輪世代で括っても、久保建英、安部裕葵、三好康児、中村敬斗、前田大然、菅原由勢、食野亮太郎ら予想以上の多さである。「青田買い」の波がアジアにも本格的にやってきたわけだ。
 
 欧州でのステップアップを考えるなら、なるべく早く海外に渡っておきたいという選手サイドの気持ちは理解できる。おそらくこの流れは続くだろうし、食い止められるものでもない。違約金の設定を高くすれば歯止めになるかもしれないが、欧州でのプレーを熱望する選手の想いに歯止めはなかなか掛けられない。もちろん彼らが欧州でステップアップするなら、日本サッカーの発展につながるはず。ジャッジするなら迷うことなく「是」と答えたい。
 
 ただ、海外で成功する選手が増えていかないと日本サッカーが発展しないということではまったくない。先月、日本人初となる公式戦1000試合出場を達成した遠藤保仁はJリーグひと筋だ。日本代表で歴代トップの152キャップを誇り、代表チームの中心として長らく働いてきた。日本でも成長はできる。
 

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