久保建英がカタールW杯への第一歩、2次予選初戦で日本代表にもたらすもの

2019年09月03日 元川悦子

久保が入ることで、攻撃陣の競争はこれまで以上に激化する

1日のバレンシア戦でリーガデビューを飾った久保。状態は悪くなさそうだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 9月5日のパラグアイ戦に向け、日本代表が2日から試合会場の鹿島で始動した。2022年カタールワールドカップへの第一歩となるアジア2次予選・初戦のミャンマー戦を10日に控える彼らにとって、この一戦は重要なテストの場。

 久保建英(マジョルカ/スペイン)や堂安律(PSV/オランダ)、中島翔哉(ポルト/ポルトガル)のように、移籍直後で90分ゲームから遠ざかっている選手にとっては、コンディションや実戦感覚を確かめる貴重な機会となる。

 久保は6月のキリンチャレンジカップ2連戦とコパアメリカ(ブラジル)に続く代表参戦だが、ワールドカップ予選は初めて。

 しかし、2016年U-16アジア選手権と2017年U-17ワールドカップをインドで、2018年U-19アジア選手権をインドネシアで戦うなど、年代別代表時代にアジアのタフな環境を何度も経験。過酷な気象条件やピッチ状態の中、ゴールにつながる結果も残していて、レベルの上がるA代表でも問題なく実力を発揮できるだろう。
 気になるのはコンディション面だが、ラ・リーガデビューとなった1日のバレンシア戦でも出足の鋭さや切り替えの速さを見せていて、状態は悪くなさそうだ。森保一監督も「本人のメンタルが充実していることは確認している」と発言。意欲の高さは期待していいだろう。

 その久保が入ることで、攻撃陣の競争はこれまで以上に激化すると見られる。森保ジャパンは発足からちょうど1年を迎えたが、2列目は堂安、南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)、中島の「三銃士」がファーストチョイスを位置付けられてきた。中島が欠場した1月のアジアカップ(UAE)では原口元気(ハノーファー/ドイツ2部)が一角を占めたものの、指揮官の序列はその後も不変だった。

 久保は2列目トリオの牙城を崩す可能性を秘めた希少な選手と言っていい。代表ではここまでトップ下が主戦場ということで、直接的な競争相手は南野となるが、FC東京やマジョルカでは右サイドに入っていて堂安とのポジション争いも十分考えられる。
「代表でもPSVでもこの状況が当たり前。やるだけです」と堂安も闘志を燃やしていた。

 彼らの闘争心や向上心を煽る意味でも久保の存在価値は大きい。

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