アルビレックス新潟が迎えた正念場の8月。3年ぶりのJ1昇格へ向け、対照的な2試合から見えた改善すべきこと

2019年08月15日 大中祐二

相手を引き込み、縦に出ていく戦術に光明が

堀米悠斗が言うように「主体的にサイドを変え続けられるか」だ。写真:徳原隆元

 3年ぶりのJ1へ。まずは参入プレーオフ圏内となる、6位以内に浮上するため、アルビレックス新潟の挑戦が続いている。
 
 8月の5試合は上位との対戦ばかりで、1試合ごとの重みも増す。初戦の26節・徳島ヴォルティス戦に4-0と勝利したチームは、13位から9位に、14試合ぶりにひと桁順位に上がった。
 
 しかし喜びもつかの間、およそ4000人のサポーターが駆けつけた前節、アウェーのモンテディオ山形戦は0-2と返り討ちに遭い、10位に後退。プレーオフ圏内は、再び遠退いてしまった。
 
 山形に敗れるまで2勝2分けと調子を上げていた要因のひとつに、相手を引き込み、縦に出ていく力を生かす戦いがハマり始めたことが挙げられる。
 
 徳島戦はまさに象徴的で、前半途中まで押し込まれる時間が続いたものの、右サイドハーフを務めたフランシスの背後のスペースへの突進力を足掛かりに盛り返し、セットプレーを生かしながら次々と加点。終わってみれば、ボール保持率4割対6割ながら、4-0の大勝だった。
 
 しかし、山形戦を前に新潟の選手たちから聞かれたのは、「徳島戦と逆の立場になるかもしれない」というコメントだった。
 
 守備時は5-4-1となる山形に、堅守を盾にボールを持たされる展開もあり得る、という試合展望だ。その危惧どおり、ボール保持率6割対4割ながら、0-2の完敗となってしまった。
 
 まんまと相手の術中にはまった90分。左サイドバックの堀米悠斗は、焦れることなく、しつこいくらいサイドを変えるべきだったと反省する。
 
「自分がボールを持つと、相手は1トップ2シャドーの3人がボランチ、CBへのパスコースを消して、アラタ(左サイドハーフの渡邉新太)には3バックの右がスライドして、自分にはウイングバックがプレッシャーを掛けてきた。
 
 逆サイドはマークを捨ててスライドしてくるから、こちらの右サイドが空くことになる。それは、試合前から分析で分かっていたこと。だから、もっと早くサイドチェンジをしたかったのだけれど……」
 
 相手がボールを持たせてくれるのであれば、何度もサイドを変え続け、縦に急がなくてもいい。

「でも、山形が構えているところに安易に仕掛けたり、無理にパスを通そうとしてはボールを失ってしまった。こちらがサイドを変えるのに相手が焦れて、出て来たときがチャンスなのに……」

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