総体のあとは就職活動へ。桐光学園初Vの立役者、佐々木ムライヨセフがプロを見据えて取り組んできたこと

2019年08月04日 安藤隆人

昨年は西川とのコンビで準優勝の立役者に。今年はアタッカーからウイングバック、サイドバックへ

桐光学園の初優勝に貢献した佐々木。今後はJリーグの練習に参加するという。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 左サイドから切り裂いてくるのは西川潤だけじゃない。西川と同じ左利きで、スピードに乗った切れ味鋭いドリブルが特徴のプロ注目のアタッカー・佐々木ムライヨセフ(3年)の存在の大きさが証明されたのは、昨年のインターハイだった。同級生の西川との阿吽の呼吸を見せながら、左サイドを高速で崩していく姿は圧巻で、準優勝の立役者となった。


 あれから1年。3年生になった佐々木は左ウイング、左サイドハーフというアタッキングポジションから、5バックの左ウイングバック、4バックの左サイドバックとポジションを落として、沖縄のピッチに立っていた。
 
「インターハイ予選準決勝の日大藤沢戦から5バックシステムになって、左のウイングバックに移りました。4バックの左サイドバックもこの大会の初戦の清水桜が丘戦で経験しましたし、自分に必要なポジションとして意欲的に取り組めています」
 
 このコンバートは彼にとって非常にポジティブなものだった。もともと佐々木はフィジカルバランスが良く、対人プレーも強いため、守備をそこまで苦にしない。さらに持ち前の縦へのスピードを生かした仕掛けは、効果的なオーバーラップとして攻撃のアクセントとなった。
 
 一番のメリットは『消える時間』がなくなったことだ。アタッカーの時の佐々木はサイドで孤立したり、単発な仕掛けがあったり、チームの攻撃のリズムが生まれていない時は、試合に関われない時間帯があった。
 
 だが、サイドバックやウイングバックに回り、まずは守備を意識し続けることで、常に試合に関わることができ、機を見て仕掛けることで、1回の攻撃の精度や威力が確実に増した。
 
「守備をしながらも、いつどのタイミングで爆発的なスピードで仕掛けてチャンスを作れるかを考えるようになりました。常にそのタイミングを狙っていて、行くと決めた時はフィニッシュまで持っていくという責任を持つ。それができない時は、まずは基本スタンスとして守備から入ることなので、守備でリズムを作りながら仕掛けるという形がしっくりきている気がします」
 
 今大会ではこのメリハリが素晴らしかった。初戦からむやみやたらに仕掛けることなく、機を見た仕掛けで攻撃を活性化し、守備面でも鉄壁の3バックをサポートしながら、相手のサイドアタッカーと対峙するなど、常に試合の流れに関わり続けた。
 
 準々決勝の西京戦では西川の今大会初ゴールをアシストし、準決勝の京都橘戦でも左サイドを突破し、西川の決勝弾をアシストするなど、やはりレフティコンビは昨年以上に効果的で、一瞬の破壊力を持った攻撃を繰り出した。
 

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