【高校選手権/代表校レポート】千葉・流経大柏|大逆転勝利をもたらした「真面目な4バック」と「覚醒したスーパーサブ」

2014年11月17日 平野貴也

真摯に取り組む態度で仲間から一目置かれる4人。

流経大柏
所在地:千葉県柏市十余二1-20
創 立:1985年
創 部:1985年
主なOB:長谷川悠(大宮)、林彰洋(鳥栖)、大前元紀(清水)、小泉慶(新潟)
(C) SOCCER DIGEST

 これまで通りなら、負けていたはずだ。市立船橋と対戦した千葉県予選決勝、流経大柏は前半で2点のビハインドを負った。相手にボールを持たれて振り回されたわけではなかったが、攻撃がほとんど機能しなかった。
 
 市立船橋は堅守が持ち味で、ゴールマウスには磐田入団が内定している志村滉がいる。昨季、先輩たちが何度も泣かされた天敵だ。1点差ならまだしも2点差は絶望的かと思われた。ベンチから戦況を見守っていたMF相澤祥太は、「2点目を取られて(32分)、高校サッカーが終わっちゃったなと思った」と告白した。プロ入りが決定的なDF小川諒也も、「後半が始まる円陣では『これで逆転のストーリーができたな』って言ってみたけど、正直、かなり無理矢理だった」と話すなど、半ば諦めムードだった。
 
 相澤も小川も能力が高く、シーズン当初から主力として期待されてきたメンバーだ。今季の流経大柏がずっと不安定だったのは、彼らのメンタリティーによるところが大きかった。例えばU-18プレミアリーグでは、柏U-18、清水ユースといった強豪相手に攻撃性と一体感を発揮して勝ったかと思えば、次の試合は複数失点を喫して敗れ去る。そんな繰り返しだった。決して頑張らないというわけではないが、ノリの善し悪しで試合の行方が決まるような、気まぐれチームだった。
 
 そんな流経大柏が、後半にPKを含む3ゴールを奪い、市立船橋に大逆転勝利を収めたのだ。苦境に置かれても、これまでのように諦めてしまわなかったのは、8月に一新された最終ラインの存在が大きかった。
 
 トーナメント戦の選手権を見据え、本田裕一郎監督は守備の安定性を重視。心に隙のない真面目なメンバーを抜擢した。CBの廣瀧直矢と山田健人、SBの大竹陸と本村武揚という4人は、いずれも一度はメンバーから外れる挫折を味わいながら、それでも真面目に取り組む姿勢で仲間から一目置かれる存在だ。ゲームキャプテンの廣瀧は、「当初はメンバー変更に不満を持っていた選手もいたけど、出ている選手が戦ってプレーで引っ張ることで、控えになった選手も試合に出るための努力をするようになっていった」と、ひたむきなプレーでメンバー変更後のチームをまとめた。
 
 勝っていても気の緩みがなく、負けていても落ち込まない4人はチームメイトに安心感をもたらし、安定感を生んだ。右MFの久保和己は「私生活でも真面目な選手が後ろに並んでいると、やっぱり心強い。負ける気がしなかった。前線で相手にプレッシャーをかけるのはチームのベースだけど、それをやらないと後ろのあいつらに悪いなと思わせるようなメンバーで、チームに一体感が出た」とバック4の効果の大きさを語った。

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