【高校選手権/代表校レポート】岐阜・岐阜工|強烈な「矛と盾」を得た「堅守速攻」の伝統校

2014年11月17日 安藤隆人

夏が過ぎる頃に一気に逞しさを増し、コンビネーションも熟成。

岐阜工
所在地:岐阜県羽島郡笠松町常磐町1700
創 立:1926年
創 部:1948年
主なOB:荻 晃太(甲府)、益山 司(岐阜)、高原寿康(町田)

 2年連続で優勝候補といわれたライバルを下しての優勝だった。
 
「正直、今年も厳しいと思っていた。春先はそれこそチームにならなかった」と、岐阜工・清本勝政監督は語った。
 
 昨年の岐阜は、まさに「帝京大可児の年」だった。FW杉本太郎(鹿島)、MF三島頌平(中央大)と年代別代表に名を連ねる二枚看板を擁した帝京大可児は、インターハイでベスト8に入るなど、絶対的な優勝候補であった。一方で岐阜工の前評判は、決して高くはなかった。
 
 しかし、選手権予選準決勝で岐阜工は、堅い守備と鋭いカウンターで、この難敵相手に2-1の勝利を収めると、決勝では各務原を2−1で下し、4年ぶり24回目の選手権出場を果たした。さらに選手権では初戦でタレントを揃える神村学園を撃破。「選手の逞しさに驚いている」と清本監督が語るほど、チームは急成長を遂げた。
 
 年間を通して鍛え上げることで、最後の選手権で力を発揮する。昨年得た手応えを今年のチームにも活かすべく、春先は我慢を続けた。
 
「『堅守速攻』がウチの伝統。全員でハードワークをして守って、素早く攻める。このスタイルを徹底する」(清本監督)
 
 ポイントは守備の構築。昨年のメンバーからDFリーダーの村瀬大地を軸に、組織的な守備を構築すべく、清本監督は彼に背番号10を与え、絶大な信頼を示した。
 
 村瀬がゲーム全体の流れを読んだラインコントロールと、正確なパス出しで攻守の起点を作る。だが、春先は彼のサポート体制が整わず、「良い形で守れていてもいきなり崩れてしまうなど、集中力を欠くシーンが多かった」(清本監督)と、苦戦の連続だった。インターハイ予選では、準決勝で帝京大可児に0-2の敗戦を喫した。
 
「夏はフェスティバルに参加し、精力的に遠征をこなして、徹底して選手を鍛えた。一試合をしっかりと戦いきる、守りきって、チャンスを見逃さず攻めきる。この意識を徹底させた」(清本監督)
 
 夏が過ぎ、チームは一気に逞しくなった。村瀬のパートナーには、昨年はボランチとして選手権に出場したキャプテンの杉山智哉が成長し、ふたりのコンビネーションは成熟。昨年からレギュラーの守護神・大西裕之と、堅守の礎を築く。
 
 攻撃面ではFW永田薫とMF立花稜也のレフティーコンビが軸となって、左サイドからの高速アタックの破壊力が一段と増した。

次ページ県予選は5試合で21得点、失点はゼロ!! ベースは堅固な守備。

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