規格外の潜在能力も成長曲線は対照的… 2人のアフリカ系ハーフ選手が年代別日本代表に辿り着くまで

2019年08月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

来季のJ入りも期待される栗原イブラヒムジュニア

三菱養和ユースのDF望月(4番)とFW栗原(10番)。ともにU-18日本代表に選ばれる逸材だ。写真:松尾祐希

 秘められたポテンシャルは無限大だ。
 
 栗原イブラヒムジュニアと望月ヘンリー海輝。
 
 元浦和の永井雄一郎(現FIFTY CLUB)や、中村敬斗(トゥベンテ)を輩出した三菱養和ユースに所属するふたりだが、置かれた立場はまるで違う。前者はプロ入りを目指し、後者は無名の存在から一気に大輪の花を咲かせようと、それぞれの目標に向かってクラブユース選手権を戦い抜いた。
 
 ガーナにルーツを持つ栗原イブラヒムジュニアは、来季のJ入りが期待されるストライカーだ。1年次からスケールの大きさを感じさせていたものの、身体が出来上がっておらず、スピード感に欠ける印象があった。だが、年を重ねるごとに190センチの体躯を活かす術を学び、今ではポストプレーと空中戦の強さは同年代屈指のレベルと称されるまでに成長。2年後のU-20ワールドカップを目指すU-18代表にも継続的に招集されるまでになった。
 
 とはいえ、完全にブレイクを果たしたわけではなく、伸び悩んでいる印象もある。クラブユース選手権の視察に訪れたU-18日本代表の影山雅永監督も「ゴールを決める自分の形が欲しい」と注文を付けたように、本物のストライカーへと成り上がるまでの道のりはまだまだ遠い。本人も理解しており、無得点に終わった7月22日のクラブユース選手権・川崎U-18戦後には「ゴール前でボールを呼び込む予備動作がまだ身についていない」と反省の弁を述べた。飛躍のきっかけをいかにして掴むか。そうした意味では、清水の練習に参加した経験は栗原にとって大きな転機となるかもしれない。
 
「プロの世界ではポジショニングが重要になってくる。1対1で簡単に勝てる状況はあまりないし、対人プレーも激しい。なので、ボールの置く位置を考えないと通用しないと思う。逆にポジショニングひとつでボールが来るので、そこは大事にしたい」
 
 ドウグラス、北川航也、鄭大世といった実績十分の点取り屋から学んだ"FWとしての極意"を自分のものにできれば、J入りの可能性が広がるはずだ。

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