イングランド代表DFを呼び出して熱血指導! 横浜戦に向けた練習でペップが魅せた名将たる所以

2019年07月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

誰よりも目立ったペップの指導

ウォーカーに対してマンツーマンで指導するグアルディオラ。その鬼気迫る表情が印象深かった。 写真:滝川敏之

「いいぞ!そうだ!」、「今だ! パスを出せ!」、「ラスト1本! しっかりと終わろう」

 あいにくの曇天模様となった横浜の空に名将の声が響いた。

 7月26日、マンチェスター・シティは今夏のプレシーズンマッチ最終戦となる横浜F・マリノスとの対戦を翌日に控え、会場となる日産スタジアムで1時間にわたる公開練習を行なった。

 日頃お目にかかれないジョゼップ・グアルディオラが率いるプレミアリーグの王者の練習を一目見ようと、スタンドには有料ながら1500人を超えるファンが詰めかけ、シチズンズ(シティの愛称)の一挙手一投足に熱い視線を送っていた。

 そんななかで最も目立ったのは、他でもないスペイン人指揮官だった。

 現地時間8月4日にリバプールとの公式戦(コミュニティーシールド)を控えるなかで、横浜戦は最後のテストの場だ。その一戦を前にグアルディオラは誰よりも大きな声で指示を出し続けていた。

 練習が進み、次第に雨脚が強まっていったが、グアルディオラの指導がトーンダウンすることはなかった。ハーフコートを使った攻撃練習を終えた際のことだった。イングランド代表DFのカイル・ウォーカーを呼び出し、マンツーマンでのレクチャーを開始したのである。

 ピッチから少し距離もあったため、二人が実際にどのような会話を交わしていたのかは定かではない。だが、グアルディオラは、ボディーランゲージを使いながら、対人プレーかビルドアップの際の動きを指導しているように見えた。

 約5分ぐらいだろうか。みっちりと話し合ったグアルディオラは、その後のゲーム形式のトレーニングでウォーカーに対し、「そうだ! それでいいんだ」と賛辞を贈る。なるほど、これこそが、名将と呼ばれる所以か。彼なりのアメとムチの使い分けなのかもしれない。

 どんな細かいことも、気になった点は選手にしっかりと伝え、ディテールの徹底を図るグアルディオラの指導。これを各国の代表レベルにある選手たちが受けるのだから、シティがプレミアリーグを連覇するのもうなずける。気づけば、筆者は土砂降りの雨に打ち付けられていたことも忘れ、その練習の光景にすっかり没入していた。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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