【天皇杯】FC東京入団内定の明治大ボランチが露わにした“ライバル”川崎への闘争心

2019年07月04日 塚越 始

「僕も伝統の一戦のピッチに立てる、そういうプレーを見せたいと思っていた」

明治大の安部が川崎戦で奮闘。来季はFC東京に加入し、川崎とは多摩川クラシコで対峙する。金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[天皇杯2回戦] 川崎 1-0 明治大/7月3日/等々力
 
「記念試合にはしたくない」
 
 明治大の選手たちはそのように声を掛け合って天皇杯2回戦、等々力でのJリーグ王者・川崎フロンターレ戦に臨んだ。
 
一泡吹かせてみせる。一発かましてやろう――。
 
 そんな気概が伝わってくるファイトを立ち上がりから繰り広げた。
 
 そのなかで、来季FC東京入りが内定し、すでに特別指定選手としてもプレーするMF安部柊斗は、3-4-2-1のボランチで先発。171センチと決して大きくはないが弾丸のように川崎のタレントたちに挑みかかり、何度かボールを奪うことに成功した。 
 
「自分たちが勝つつもりで来ました。明治らしさを表現しようと、前半から臆することなく向かって行きましたが、上手くかわされたり、いなされたり……。行き方の問題だったのか、距離などの問題だったのか。そこは整理したいです。ボールを奪い切るには、もっと練習をして、考え方を身に付ける必要も感じました」
 
 川崎の選手からは「(明治大の選手が)思っていたほど前からプレスを掛けにこなかった」という声が聞かれた。しかし、どうやら明治の選手たちからすると、いなされ、かわされ、球際に行きたくても行けなかったというのが本音だったようだ。
 
 ただ、そのなかで安部は、ゴール前をはじめピンチでの身を挺した守備が光った。41分には、ドリブル突破で中央から仕掛けてきた齋藤学に対してスライディングタックルでストップ。一瞬対応が遅れたため、ファウルをとられたが、負けん気の強さを見せた。
 
「来年から……もしかしたら今年、再び(FC東京の一員として)川崎と対戦する機会があると思っています。僕にとっては、そこに向けての今回の試合でもあり、本当に勝つつもりでした。僕も多摩川クラシコの伝統の一戦のピッチに立つことができる、そういうプレーを見せたいと思っていました」
 
 川崎にだけは負けてはいけない――そのDNAがすでにある。それだけに安部としては、今回が多摩川クラシコの"前哨戦"でもあり、そういった意味を含め、絶対に勝つつもりだったという。
 
 結果は0-1。善戦したが、チームとして痕跡を残すまでには至らなかったか。ただ、そうやって本気で挑んだことによって、自分の足りない点も改めて知ることができた。
 
「まだまだ球際で負けるシーンもありました。そこで奪い切れる選手。そこから攻撃につなげられる選手になっていけなければ、これから試合に出ていくのは難しいと感じました。もっと練習して突き詰めます」
 
 今野泰幸、米本拓司、橋本拳人……そういったボールを奪い切れるファイター型のボランチの系譜にあたるか。何よりそんな先輩たちにも負けず劣らず、ある意味、彼ら以上にギラギラと、"ライバル"である川崎の等々力陸上競技場で見せた安部の闘志は、十分観る者を魅了するものがあった。
 
取材・文:塚越 始

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