最下位から逆襲なるか… 磐田、鈴木秀人新監督が会見で方向性を明かす「雑草魂を植え付ける」「多くを変えても混乱するだけ」

2019年07月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

クラブは「点の取れる選手」の補強を明言

記者会見で決意を語った鈴木新監督(中央)。服部強化部長(左)と小野勝社長が同席した。

 ジュビロ磐田は7月2日、ヤマハスタジアムで鈴木秀人新監督(44)の就任会見を行なった。2014年9月に就任し、4年9か月の長期政権となった名波浩前監督(46)が今季前半戦最後の川崎フロンターレ戦後、突然の辞任表明。ヘッドコーチとして前監督を支えてきた鈴木監督は、尊敬する前監督の志半ばとの思いを胸に刻みながら、チーム再建への意気込みを語った。
 

 川崎戦前に名波監督から辞意を伝えられ、クラブはすぐに次期監督の選定作業に入った。小野勝社長によると、「売り込みを含め、経験のある日本人や外国人の複数の候補をずらっと並べた上で、ヒデ(鈴木監督)が適任だった」と話した。
 
 服部年宏強化本部長(45)は「早い段階で立て直してもらうために、鈴木監督に〝やってくれるか〟と声をかけた」と前体制の築き上げてきたものを継続しながら、チームを立て直す方針を固めた。次節6日の鹿島アントラーズ戦まで時間はない。残り17試合。限られた時間の中で、ヘッドコーチからの昇格をクラブは選択した。
 
 鈴木監督は「精いっぱい頑張る。選手には最下位という現状なので、『這い上がっていくしかない』と言った」と決意を語った。ジュビロの前身ヤマハ発動機にテスト生として入団しながら、96年アトランタ五輪でマイアミの奇跡を起こした一員となり、2009年の現役引退までJ1通算328試合に出場した自らのサッカー人生を、12月7日のヴィッセル神戸との最終節までの厳しい残留争いと照らし合わせる。「こういうタイミングで引き受けるのも運命。経験してきたことを選手に伝えながら、雑草魂を植え付けたい」と力強く言った。
 
 決定力不足という課題は明確。「得点を取らなければ勝てない。多くを変えても混乱するだけなので、名波前監督が積み上げてきたものに対し、足りなかった部分を積み上げることに着手している」と就任から2日間の非公開練習を振り返った。シュート数や決定機はほとんどの試合で上回っているが、ゴールを割れない試合が続いている。ゴール前の迫力や厳しさ、執着心に欠けていることを再確認させ、冷静にプレーできるように、まずは選手の内面を変える。
 
 選手起用については「横一線とは言い切れないが、フラットに見る」とした。クラブは「点の取れる選手」の補強を明言しているが、いずれにしても20日の浦和レッズ戦までは出場することはできない。最近はベンチ外となることが多かった大久保嘉人や、けがで離脱している川又堅碁と実績のあるFWがくすぶっている。そうした選手たちの能力を最大限まで引き出すことができるか。鈴木監督の手腕にJ1残留が託される。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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