「エスコバルのようになれ」PK失敗のコロンビア代表DFに卑劣な脅迫――よみがえる25年前の悲劇

2019年07月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

父親は「祈るばかりだ」と懸念

PKを外して頭を抱えるテシージョ。脅迫を受けていることを明らかにした。(C)Getty Images

 大舞台でPKを外し、チームが敗退を余儀なくされれば、批判を浴びるのは免れない。それはプロサッカー選手に宿命とも言える。だが、命が危険に晒されるなど論外だ。

 6月28日のコパ・アメリカ準々決勝でチリと対戦したコロンビアは、スコアレスのまま90分を終えてPK戦を迎えた。4人目までが成功したが、5人目のウィリアム・テシージョが失敗。5人全員が成功したチリに屈し、コロンビアはベスト8で姿を消した。

 落胆と失望に打ちひしがれたコロンビア国民の一部は、怒りの矛先を間違えた形でテシージョに向けたようだ。

 スペイン紙『Marca』コロンビア版などによると、テシージョとその家族に、SNSで脅迫メッセージが寄せられているという。妻がSNSで明かしたところによると、「エスコバルと同じようになればいい」とのメッセージが届けられたそうだ。

 エスコバルとは、1994年のアメリカ・ワールドカップに出場したコロンビア代表DFのアンドレス・エスコバルのこと。痛恨のオウンゴールを喫し、グループステージ敗退の戦犯とされ、帰国後に射殺されるという悲劇に見舞われた。
 
 それから25年が経ったが、コロンビアでは同様の事件は後を絶たない。昨年のロシアW杯でも、日本との初戦で開始早々にPKを献上し、退場処分となったカルロス・サンチェスが脅迫されたのは記憶に新しい。

 Marca紙によると、テシージョは地元メディアに脅迫があったことを認めたうえで「僕たちは神といる」と話したという。父親は「祈るばかりだ」と懸念を示している。

「これはサッカーの試合であり、勝つ時もあれば負ける時もあるということを理解すべきだ」

 悲劇が繰り返されず、テシージョとその家族が心穏やかに過ごせる日が訪れるのを願うばかりだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
 
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