「アトレティコは僕の人生」引退表明のF・トーレスが語った古巣への想い。復帰の可能性については…

2019年06月28日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

「世界中にアトレティコの旗を掲げてくれた」

アトレティを熱狂させてきたF・トーレス。18年夏、EL優勝を置き土産に日本へと旅立った。(C)Getty Images

 2017年の3月、アトレティコ・マドリーのかつての本拠地ビセンテ・カルデロンを訪れた時だった。

 チャンピオンズ・リーグのラウンド・オブ16のレバークーゼン戦。キックオフの3時間ほど前からスタジアムに集まり始めたファンを観察していると、あることに気付いた。「9番」のユニホームを纏っているアトレティ(アトレティコのファン)が圧倒的に多いのだ。

 エースのアントワーヌ・グリエーズマンや、生え抜きのMFコケよりも支持を集めていたのが、フェルナンド・トーレスだった。

 そのゲームで出番は巡って来なかった。ただ、試合中の接触プレーで脳震盪を起こしてから約2週間ぶりの復帰ということもあって、9番がピッチ脇でアップを始めると、大歓声が上がり、お馴染みのチャントが鳴り響いた。それは、スコアレスドローで終ったこの一戦で、最も盛り上がったシーンと言っても過言ではなかった。

 そのアトレティのアイドルが、ユニホームを脱ぐ決断をした。

 通算11シーズン(下部組織を時代を含めると約16年間)に渡ってプレーしたアトレティコを離れ、1年前にサガン鳥栖と契約したF・トーレスは6月21日、自身のツイッターで文字通り電撃的に発表する。「18年間のキャリアを終わらせる時が来た」という投稿は、世界中を驚かせた。
 
 これを受けて古巣アトレティコも、すぐにメッセージを発信した。

「私たちとあなたの関係は子供のころから始まり、あなたは伝説となりました。世界中にアトレティコの旗を掲げてくれたことに感謝します」

 添えられていたのは、おそらくはこのクラブに11歳で入団した頃に撮影されたと思われるフェルナンド少年の写真だった

 その投稿には、数多くのサポーターから労いや驚き、落胆の言葉が寄せられた。

「言葉が見つからない」
「私たちのすべてだった」
「本当にお疲れさまでした」
「ここで引退してほしかった」
「あなたアトレティコの伝説です」

 そのレジェンドは、引退宣言から2日後、都内で会見を開いた――。
 

次ページ「アトレティコに戻るのか?」という質問に対して…

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