【セルジオ越後の天国と地獄】ミランでの本田の活躍は素直に認めるが、必要以上に褒めるべきでもない

2014年10月30日 週刊サッカーダイジェスト編集部

厳しい目に晒され、乗り越えてこそのスーパースター。

ミランではゴールを連発している本田だが、代表では決して満足のいくプレーを見せているわけではない。 (C) Albert LINGLIA

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※週刊サッカーダイジェスト11.11号(10月28日発売号)より

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 ミランの本田圭佑が9試合6ゴールの活躍で、好調を維持している。
 
 開幕前は厳しく批判していたイタリアメディアも称賛し、苦言を呈していたミランのOBたちも一転、褒め称えている。かく言う僕も厳しい言葉を投げ掛けてきたひとり。今のミランでの活躍は素直に認めたい。
 
 ただ、こう言うと、日本人は「手のひら返し」と言うけれど、それが悪いことだとは思わない。悪ければ叩き、良ければ褒めるのは当然のこと。チームも選手も生き物で、良い時もあれば、悪い時もある。その時々で、しかるべき指摘や批判をするのがジャーナリストの役目。むしろ、悪いのに悪いと言えないことのほうが恥ずかしい。
 
 クリスチアーノ・ロナウドも、メッシも、ネイマールも、そうしたメディアやファンの厳しい目に晒され、それを乗り越えて逞しくなるから、ワールドカップやチャンピオンズ・リーグという大舞台で活躍できるんだ。それがスーパースターであり、ビッグクラブの選手。逆に言えば、日本は生温いから、本当に強く、逞しい選手が生まれない。
 
 本田についてもうひとつ付け加えるなら、それでも今、必要以上に褒めるのはどうかと思っている。今のセリエAのレベルや対戦相手を考えれば、そこまでスーパーな活躍をしているわけではないし、日本代表での4試合を見れば、決して満足のいくプレーを見せていないから。
 
 ジャマイカ戦では決定的なチャンスを外したし、ブラジル戦では見せ場はひとつもなかった。本当に素晴らしい選手は、相手がブラジルでもひとりで決めてみせるものだから。
 
 日本代表と言えば、アギーレ監督が11月の合宿を一時離脱するようだね。メキシコ企業の主催するサッカー殿堂に選出され、11月11日にメキシコで行なわれる掲額式典に招待されたと日本協会が発表した。
 
 代表チームはまとまって練習する時間が取れない。しかも4試合を戦って、チーム作りが進んでいるとも思えない。アジアカップが目前に迫り、選手は生き残りを懸けて代表にやってくるのに、指揮官は式典に出るため、メキシコに帰国するなんてことが許されるはずがない。
 
 この時期に代表チームを離れるということは、アジアカップで優勝する自信がよほどあるのか、すでに日本への愛着はなく、いつでもクビになっていいと考えているかのどちらかだろう。
 
 いずれにしても、アジアカップでベスト4に残れなかったら、クビを切るべきだよ。その際、この離脱は違約金の支払いに関する交渉を有利にするための材料に使えるだろう。
 
 もちろん日本協会は、喜んで彼をメキシコに送り出そうなんてこと、考えていないよね?

次ページ昇格プレーオフへの疑問と優勝争いのレベルの低さ。

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