“監督交代ブースト”の効果は切れた。再び最下位転落の鳥栖…真価が問われるのは、むしろここから

2019年06月16日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「3連勝はおまけみたいなもの」(金監督)

浦和戦でフル出場した金崎も、無得点に終わった。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ15節]浦和2-1鳥栖/6月15日/埼玉スタジアム2002
 
 サガン鳥栖は6月15日、J1の15節で浦和レッズと対戦し、1-2で敗れた。先制点を奪い、その後同点とされながらも、豊富な運動量を武器にうまく立ち回ったが、最終盤に逆転ゴールを献上。悔しい敗戦となった。
 
 金明輝監督は振り返る。
 
「プランどおり進めていたところと、イレギュラーが起きたところと混在したゲームで、チームとしての足りなさが出た。順位にも反映されていますけど、最終的にはそういう部分の差が出たのかなと。埼玉スタジアムで彼ら(浦和の選手たち)の気持ちが勝ったのかなと考えています」
 
 指揮官いわく「両方のゴール前でのクオリティで差が出た」試合だった。「得点した後に、チームとして準備していたことを放棄した。自分たちが臆病になってラインがズルズル下がって、ボールに行けない。それは勝っていないチームにありがちなプレーで、修正していくべきところ。同点になってからエンジンがかかって、相手の思いどおりのプレーをさせなかった反面、危ないシーンもあった。そこは当然反省しなければならない。決めるべきシーンもあった」と悔しさを滲ませながら、試合後の会見で語る。
 

 それでもチームとしては決して悪いパフォーマンスではなかった。鳥栖のメンバーは全員がハードワークを怠らず、攻守において走力で浦和を上回っていた。決定力や勝負強さという点で反省が残るものの、1勝1分8敗と混迷を極めた10節までと比べれば明らかにチーム状態は良い。
 
「負けて言うのもなんですが、ビルドアップはハメられた感じは、ほぼほぼなかった。その先でミスは生じましたけれども、ミドルサードまでしっかりと持っていけていた。逆にいえばそれをさせないプレッシングもできました」という金監督の言葉は、決して強がりではない。
 
 実際、11節に金体制となってからリーグ3連勝を飾り、一時は降格圏から脱していた。もっとも、「監督交代ブースト」と呼ばれるように、指揮官が代わった後に、選手たちが精神的に刺激を感じて勢いづくことは往々にしてある。
 
 むしろその勢いを継続できずに、前節のC大阪戦に続き、この日の浦和戦でも敗れ2連敗してしまったのは、いただけない。再び最下位に転落した事実に金監督は「3連勝はおまけみたいのものだと思っています。ここからが僕の真価が問われる。やっぱりプロなので結果を出してナンボなので、そこにしっかり向き合って、トライしていきたいと思います」と語気を強めた。
 
 金監督は再び、鳥栖を浮上させられるか。指揮官をはじめチームとしても、苦境に立たされたここから、まさに、真価が問われる。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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