【FC東京】久保移籍で思い出される“失速劇”。エース離脱の穴を埋める救世主候補は?

2019年06月15日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

久保移籍は現時点で大きなダメージだろう

R・マドリ―への移籍が決まった久保だが、このエースを失ったFC東京はどうなる? 写真:Getty Images

 久保建英のレアル・マドリ―移籍が決まったことで、ひとつの正念場を迎えるのがFC東京だろう。ここまで攻撃の切り札的存在として活躍してきた久保が抜けた穴はそう簡単に埋まらない。
 
 実際、シュート3本に終わった広島戦のように、久保不在時のFC東京は攻め手を欠く印象だ。J1の14節を終えて単独首位(2位の川崎と勝点6差)に立っているとはいえ、頼みの久保がいなくなれば覇権への道のりは険しくなりそうである。
 
 ディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑の2トップは9節の松本戦を最後に14節の大分戦までリーグ戦でのゴールがなく、「彼(久保)に頼りっぱなし」という橋本拳人のコメントはあながち的外れではない。

 磐田戦など久保のゴールやアシストで勝点3を手繰り寄せた試合が複数ある事実を踏まえても、FC東京がJ1制覇を目指すうえで彼は重要なピースだった。だからこそ、移籍によるダメージは大きそうだ。
 
 エースを引き抜かれての失速劇で思い出されるのが、2015年シーズン。在任2年目を迎えたマッシモ・フィッカデンティ監督の下、FC東京はカウンター重視の戦い方で第1ステージ(当時は2ステージ制)を2位でフィニッシュした。

 しかし、唯一無二の得点源だった武藤嘉紀を夏の移籍(ドイツのマインツへ)で失うと、第2ステージは肝心な局面でゴールを奪えないゲームが増え、結局、年間4位でチャンピオンシップの出場権を逃がしてしまう。武藤が最後までいてくれれば……と、そう嘆いたファン・サポーターは少なくなかったのではないか。
 
 ただ、久保がいなくてもFC東京の戦いは続く。久保の代役候補、すなわち救世主候補をあえて挙げるとすれば、韓国代表のナ・サンホか。

 昨季は在籍2年目の光州で大ブレイクし、Kリーグ2部のリーグMVPと得点王をダブル受賞。FC東京に新天地を求めた今季は清水戦で同点ゴールを奪うなど、この22歳のアタッカーが優れた攻撃性能を発揮した試合もある。
 
 スピードに優れ、テクニックもある。シュートへのアプローチもハイレベルで、チームに上手くハマれば(起用されるポジションは右サイドハーフか左サイドハーフ、もしくは2トップの一角)、ナ・サンホは大きなサプライズを提供してくれるだろう。

 いずれにしても、FC東京の本当の戦いはここから始まる。まずはホームの神戸戦で〝久保ロス"を払拭したいところだ。
 
文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)
 
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