エルサルバドル戦に見る3バックの「メリットとデメリット」。森保監督が4バックに戻した意図も解説

2019年06月11日 清水英斗

攻撃的3バックは格下相手のW杯予選で役に立つ

ウイングバックに原口(写真)と伊東が入ったことで、攻撃面は格段に威力を増した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 3-4-2-1システムに着手した、6月の森保ジャパン。トリニダード・トバゴ戦は消化不良感のあるスコアレスドローに終わったが、エルサルバドル戦は、特に前半のパフォーマンスで相手を押し込んで圧倒し、2-0で快勝した。
 
 2試合の大きな違いは、両ウイングハーフだ。トリニダード・トバゴ戦は長友佑都と酒井宏樹のサイドバック、つまりDFタイプを両翼に並べた。一方、エルサルバドル戦は原口元気と伊東純也のウイング、FWタイプを起用している。
 
 1戦目の反省もあり、原口と伊東は高いポジションを取って、仕掛け、飛び出し、プレッシングと、かなりの躍動感があった。
 
 エルサルバドルは4-1-4-1の守備でコンパクトに守ったが、それによって大きくなるブロック外のスペースを、左から原口、右から伊東、さらに中央から永井謙佑の飛び出し。日本は守りを固める対戦相手の攻略法を、見事に実践した。
 
 この攻撃派の3-4-2-1を用いた戦術は、格下との試合が増える9月からのワールドカップ2次予選で、大いに役立つだろう。良いシミュレーションだった。
 

 ただし、3-4-2-1の完成度としては、まだ50パーセントほどか。及第点に達しているとは言えない。
 
 59分、永井に代えて大迫勇也、畠中槙之輔に代えて山中亮輔、伊東に代えて室屋成を投入した。馴染みの4-2-3-1に変更している。
 
 なぜ、4バックに戻したのか? 戦略的な意図はあるだろう。3バック単体ではなく、試合の流れに応じて4バックと併用する対応力を磨いておきたい。あるいは、67分に投入した中島翔哉と久保建英を、大迫、堂安律と一緒にプレーさせたい。そうした戦略的な考えはあったのではないか。
 
 しかし、それだけではなく、試合単体としても、4バックに戻したことには合理性があった。なぜなら、後半の序盤は、3-4-2-1が行き詰まっていたからだ。
 
 前半こそ圧倒的に押し込んだ日本だが、後半はエルサルバドルのサイドバックが高い位置を取り、人数をかけてパスをつなぎ、前へ出てきた。勢い満点の前半には、原口と伊東が下がって5バックを形成する場面は少なかったが、後半序盤は増えた。
 

次ページ前後に行ったり来たりのオープンな展開は、3バックには不向きだ

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