【6月シリーズ総括】最大の収穫は? 価値が高かった永井の活躍と久保の台頭

2019年06月10日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

価値があった永井の活躍

エルサルバドル戦のスタメン。永井らの活躍が光った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 この6月の2試合の総括を訊かれて、長友佑都は「3バックを試せたことは良かった」と言った。まさにその通りである。決して強豪とは言えない相手とのゲームでたとえ3バックが機能したとしても、それはそれと割り切るべき。機能しようがしまいが、3バックをテストしたことが最大の収穫で、それ以上でも、それ以下でもない。
 
 これから始まるワールドカップ予選に向け、対戦国に「日本は3バックで戦うかも」と迷わせることが大事なのだ。たとえは悪いかもしれないが、迷わせることの重要性は長友佑都が久保建英の凄さについて「正直、めちゃくちゃ嫌なタイプ。ドリブルだけならいいんですよ。でも、建英はパスも出せるでしょ」と語った内容からも窺える。
 
 「おそらく4バックで戦う」から「3バックもありそう」と相手に思わせるだけで、心理的なアドバンテージを掴める可能性は高い。その意味で、機能するかはさて置き、3バックを試した意義はあったはずなのだ。
 
 同じ3-4-2-1システムでも、トリニダード・トバゴ戦のウイングバックはどちらかと言えば守備的な長友佑都さ酒井宏樹、エルサルバドル戦は攻撃的な原口元気と伊東純也と"色の違い"を見せた。守備を固めたい場合は長友&酒井、ゴールを奪いに行くなら原口&伊東と、そういう使い分けができることが分かっただけでも収穫だ。
 
 堂安律が不完全燃焼、南野拓実もゴールに絡んでないなどネガティブな材料もあるが、3バックシステムについてはこれから突き詰めればいい。堂安をスタメンから外せとか、そういう議論は現時点でナンセンスだ。
 
 選択肢を増やしたという点では、エルサルバドル戦で2ゴールを決めた永井謙佑の活躍は見逃せない。
 
 結果を残したことはもちろん、ポストワークに長けた大迫勇也と違った持ち味──スピードと裏のスペースを狙う推進力を見せつけたのは大きいだろう。当然、「そこまでプレッシャーの強い相手ではなかったから」との見解もあるだろうが、大迫頼みの攻撃を改善できるかもしれないという期待を抱かせただけでも永井の活躍には価値があった。
 

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